オトコを見せてよ倉田くん!

オトコを見せてよ倉田くん! (MF文庫J)

オトコを見せてよ倉田くん! (MF文庫J)

オトコを見せてよ倉田くん!

著者・斉藤真也先生。挿絵・フミオ先生。第5回MF文庫J新人賞『佳作』受賞の作品です。挿絵のフミオ先生はPCゲーム「智代アフター」の原画とか担当されていた方です。
・シナリオ
三度の飯より年上の女性が好きな倉田優樹(♂・高校二年生)は、近所に住む年下の中学生・愛衣に朝からたたき起こされるという、ギャルゲー的生活を送るダメ人間。ある日、愛衣の親友である小夜の家を訪れた優樹は、小夜の“とんでもない秘密”を知ってしまう。口封じのために殺されそうになる優樹だったが、小夜と将来婚約すると誓うことでなんとか一命をとりとめる。しかし翌日、今度は愛衣の“とんでもない秘密”を知ってしまって—。第5回ライトノベル新人賞で佳作を受賞した、スリル満載のラブコメディー!絶対にバレてはいけない“二股”がそこにはある—。(7&YHP商品紹介ページより抜粋。)
・感想
思わぬ形で二股状態となったヘタレ主人公の倉田優樹が、二股をかけてしまったヒロイン2人―――ツンデレ金髪洋風少女の猫柳愛衣、ヤンデレ黒髪和風少女の戌威小夜。この2人の間に挟まれて優樹が優柔不断に右往左往する作品です。
典型的なラブコメで、主人公がハッキリしないがために色々と回りも本人も苦労する、というものを読者として楽しむタイプの作品です。主人公である優樹がつじつまを合わせたり遭遇させてはいけない2人を会わせないように奔走するなど、そんな恵まれた状態ながら苦労している、という様子が面白おかしく書かれ最後はヒロインに関係する大きな出来事が起こり、それに主人公や他のヒロインが協力して関わって日常を取り戻す―――そういう流れになっています。
ヒロイン2人はわかりやすく対比されています。東洋的少女と西洋的少女―――そんな形の、スタンダードな美少女という分類で2極が描かれます。おしとやか、控えめ、清楚で優しく―――そんな大和撫子とされる女性という形の戌威小夜。元気溌剌、明朗快活、口は悪いが気配りできる―――そんな現代的な美少女という形の猫柳愛衣。彼女たちがそれぞれ秘密を抱えていて、それを優樹が知ることでそれぞれの少女たちとの関係に変化がおきる、というのがこの作品の導入部分となります。
主人公がありきたりなまでに優柔不断で最後の最後まで何も主人公らしいアクションを見せていないのは見飽きた気もしますが、敵役が演出過剰なまでに悪役らしいので、ヒロイン同様にこちらもちょうど良い対比になっていましたね。これだけ悪役が憎らしい、良い所の無い悪役なのも珍しいです。
総じて、よくあると言ってしまうと実も蓋も無いですが、「ヒロインをヘタレ主人公が助ける話」と「主人公がヒロイン色々に言い寄られて断りきれずその間で右往左往する話」とを混ぜ合わせたような内容の作品ですね。