三流木萌花は名担当!

三流木萌花は名担当! (MF文庫J)

三流木萌花は名担当! (MF文庫J)

三流木萌花は名担当!

著者・田口一先生。挿絵・をん先生。田口先生は第3回MF文庫Jライトノベル新人賞で「魔女ルミカの赤い糸」で佳作を受賞され、同シリーズを慣行。さらに「黒姫のユズハ」シリーズも慣行されています。挿絵の をん先生は「ユズハ」シリーズでも挿絵を担当されていますね。
・シナリオ
「あなたが、時任零路?」突然、学校の階段で女の子から名前を呼ばれ、僕は思わず立ち止まった。時任零路は、僕が三流木出版からデビューしたとき、一度使ったきりのPNだ。今はもう封印している。まっっっっったく、売れなかったんだ。ところが、久しぶりに編集部に顔を出すと、そこにいたのはあの階段の女の子三流木萌花だった。「担当命令よ!萌えでエッチなラブコメを書きなさい!」えええっ!?…も、“萌え”?文学、目指してるんだけどくぁwせdrftgyふじこ。アグレッシブにラブってコメる“ラ界”の風雲児・ミツルギファイヤー文庫創刊。(7&YHPより抜粋。)
・感想
作品内容は、純文学傾向の高校生小説家が娯楽小説としての「萌え」や「えっち」「ラブコメ」といった内容のライトノベルを書く為に、同級生で担当というヒロインと四苦八苦しながら作品作りをしていく、というもの。作品を生み出す苦労や実際に小説を世に出すまではどれだけの作業を経ているか、などが見られる作品です。
ライトノベルというものを知らない―――とうか、娯楽そのものにあまり縁のなかった主人公が、ヒロインの指導を通じて「萌え」に染まっていくのがなかなか笑いを誘いますね。しかし基本的なラブコメ話としての女の子とのアクシデント(胸タッチ)などの基本を踏まえつつ、作品作りの辛さ…思うように書けない、書いてはみたけどしっくりこない不満足感がある―――などを描いていて、明るい娯楽作品であり、同時に作品を生み出す側の苦労話…普通見せる必要のない場所を、あえて娯楽の1つとして提供するという、意欲的な作品だと思いました。