ドラゴンクライシス!9

ドラゴンクライシス! 婚約者は突然に!?

著者・城崎火也先生。挿絵・亜方逸樹先生。遺物探索トラブルアクションラブコメディ、とでもいったところでしょうか。著者の他作品は「嘆きの館」、「鬼刻」シリーズ、などがありますね。
・登場人物
主人公で『遺物』の特殊能力を引き出す能力を持つレベル10遺物使いの如月竜司、レッドドラゴンの幼生体で竜司に懐いて一緒に居る金髪碧眼の少女ローズ、竜司のハトコでトラブルメーカーな女子大生で遺物探索家の七尾英理子。この三人がメインキャストというところでしょうか。またサブヒロイン的な立場で元・大怪盗オッドアイで現在は名門お嬢様学校に通っているアイこと本名は牧原愛華
今巻で登場するのは遺物協会日本支部で竜司が登録するまでは最高位の遺物使いとしてレベル9で登録されていた、三奈木財閥のお嬢様・三奈木沙織。沙織のことが好きなひとつ年下の幼馴染でレベル5の遺物使い、関口努。
他、江藤美咲などのクラスメートなど。
・シナリオ
スーパーお嬢様登場! 竜司くん大ピンチ!?突然現れた沙織。彼女は大財閥のお嬢様で、親公認の竜司の婚約者だった! ローズや実咲は大ショック。さらに彼女は、竜司と同居する事に!? アイや幼なじみの少年や遺物まで乱入…大好評第9巻!(7&YHPより抜粋。)
・感想
この巻は新展開の巻、でしょうか。或いは基本に立ち返る巻、ともいえますかね。
今回では「押しかけ婚約者」がポイントでしょうか。
ある日、母親から電話がくる。内容は「三奈木沙織って娘が行くと思うから、よろしく〜〜〜」とのこと。それだけの連絡で電話は切れてしまい、困惑する竜司だったがその後、すぐにその意味はハッキリする。翌朝には三奈木沙織という少女が竜司の家に来訪し、「あなたの婚約者です」と名乗る。学校でも転校生としてやってきた沙織は自分が竜司の婚約者であると明言するや、美咲などの前でも親密にしようとし、さらに翌日には自分も竜司の家に住むと言い出すなどして積極的に竜司に接近していく。困惑する竜司やローズたち、面白がる英理子。そんな折に沙織の幼馴染である努が、協会から遺物の確認鑑定をして欲しいと、鍵型の遺物を持ってくる。その遺物にはある謂われがあり、それは沙織が積極的に竜司に近寄ろうとした理由にも繋がっていて―――という感じです。
内容としては前回同様、前半でラブコメディパート、後半では遺物に絡んだアクションパート、という感じに分かれています。
ブコメディパートでは沙織が竜司の元へ来た事によるひと騒動というのが中心で、「突然のお嬢様転校生は主人公の婚約者!」という古き良きラブコメの王道を踏襲しながら作品に合うアレンジを加えているという感じでした。沙織の積極性とお嬢様という立場から来る少し常識外れな振る舞いの数々が笑いを誘い、かつお嬢様ながら献身的に行動しようと普段取らない行動を取ってみようとしてみるというギャップを楽しめるかと思います。
アクションパートでは、沙織が竜司の元へ来た理由とその原因となる彼女の精神面でのダークな一面を見る事になり、またそれが生まれる理由となった彼女の寂しい家庭背景が描かれて、それを竜司が知り彼女を助ける行動を取るまでという、1人の遺物使いの少女が生まれて竜司と出会うまで的なものが見られます。
総じて、よくあると言うと多少語弊があるかもですが「恵まれた家庭に生まれた者は、相応の期待を背負わされる。それにどう答えるかは各人次第」というもので、「間違ってしまった」少女の起こした騒動、というのが今巻の話と言えますかね。ですがラストはお約束ながら竜司に本気で惚れる少女がまた1人となっていて、着実に竜司のハーレムは本人の意図しないところで出来上がっていく、という感じでしたね。赤竜少女、白竜少女、怪盗狼少女、普通少女に発明少女、今回はお嬢様少女…さてこの調子でどれだけ増えていくのでしょうかね?(笑