ドラゴンクライシス!8

ドラゴンクライシス! 最強メンバー集結!!

著者・城崎火也先生。挿絵・亜方逸樹先生。遺物探索トラブルアクションラブコメディ、とでもいったところでしょうか。著者の他作品は「嘆きの館」、「鬼刻」シリーズ、などがありますね。
・登場人物
主人公で『遺物』の特殊能力を引き出す能力を持つレベル10遺物使いの如月竜司、レッドドラゴンの幼生体で竜司に懐いて一緒に居る金髪碧眼の少女ローズ、竜司のハトコでトラブルメーカーな女子大生で遺物探索家の七尾英理子。この三人がメインキャストというところでしょうか。またサブヒロイン的な立場で元・大怪盗オッドアイで現在は名門お嬢様学校に通っているアイこと本名は牧原愛華
以前の巻で登場した面々は、ホワイトドラゴンの皇女で竜司に助けられた経験を持つマルガ。かつてローズを奪おうと日本にやってきて、竜司が遺物使いとして覚醒する原因ともなった騒動の首謀者だったオニキス。
そしてオニキスを慕う彼に育てられたブルー・ドラゴンの少女でローズが昏倒する原因となった行為を彼女に教えたサフィ。
ローズの不調を癒す遺物を持つとされていて、長い年月を生きている強大な力を持つ伝説のドラゴンのファーブニル。
・シナリオ
竜司が大好きなローズ。そのローズが突然倒れてしまった!しかも、竜司の目の前で!!大切なローズを救うため、竜司たちは彼女を連れて、隠されたドラゴンの皇国へと向かう。マルガやオニキスも協力してくれるが、マルガの強力な癒しも効果はうすく、ローズに生命の危機が!残された希望は、強大な邪竜が持つ奇跡の遺物だけ!?大切なローズを救うため、竜司の激闘が始まる。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この巻は前巻の続きです。流れとしては、オニキスの行動により倒れてしまったローズを助けるため、竜司はオニキスが提案する治癒能力に長けたホワイトドラゴンのマルガに連絡を取る。ホワイトドラゴンの国にならローズを救うことができるかもしれないと言われ、竜司たちはローズをホワイトドラゴンの国に連れて行くが、ホワイトドラゴンの国は人間の立ち入りは厳禁だった。竜司たちはマルガに庇われながらローズを助ける術を探し続け、ようやくその方法を見つけるがそれには伝説のドラゴンが自らの宝として持っていってしまった遺物「聖母のアミュレット」が必要とわかる。「聖母のアミュレット」を手に入れるため、竜司、マルガ、オニキス、サフィ、英理子といった人とドラゴンで混成されたメンバーは一路、伝説のドラゴン、ファブニールが棲む洞窟を目指す―――というものです。
今巻はラブコメ要素が若干薄めでその分、宝を守るドラゴンの洞窟に挑むなどのアクション要素が強い話でしたね。話の展開としては「ホワイトドラゴンの国で情報収集→ファブニールの洞窟に挑む」という単純明快なもの。
ブコメ的な要素としては今回はローズがダウンしているため、マルガにスポットが当たります。以前に登場した時は竜司に対して好意的ではあるも皇女ということで一線を引いた態度だった彼女が、竜司と再開し一緒にいる間に、彼への好意を再確認して思いを強めていく、という感じになっています。誰にバレてもいけない竜司たちの滞在を隠すために竜司を大きく広がったプリンセススカートの中に隠してやり過ごすなど、ラブコメの定番的な展開が盛り込まれていました。
アクション的な要素はダンジョン・アタック的な側面のあるファーブニルが棲む洞窟への探検があります。罠だらけの中を進み、さらに奥に鎮座する宝を守るファーブニルを相手に竜司はスラッシュ・ブレスで挑み、オニキスやマルガはドラゴンの能力で黒い炎や氷の槍を飛ばし、サフィは水流の壁でファーブニルの攻撃を防ぐ。そんな冒険物語の定番のような流れが待っています。
今巻はそうやって、物語の流れとしては綺麗に二分されている話です。最後はきちんとハッピーエンドが待っている辺り予定調和ですが、難しい小細工や回りくどい伏線があったりするわけではない、単純明快なストーリーが気楽に楽しめる作品でしたね。