やってきたよドルイドさん!

やってきたよ、ドルイドさん! (MF文庫J)

やってきたよ、ドルイドさん! (MF文庫J)

やってきたよドルイドさん!

著者・志瑞祐先生。挿絵・絶叫先生。志瑞祐先生は本作品で第4回MF文庫Jライトノベル新人賞で佳作を受賞しています。挿絵の絶叫先生は「とらドラ!」(電撃文庫)の漫画版を描いておられますね。
・登場人物
主人公はクラスの委員長でしっかり者、トンデモ行動をしてしまうヒロインのホリンに常識とツッコミを語るも実は意外とノリが良い女子高生の白川夏穂。彼女の視点で物語は進められていきます。ヒロインとしては作品タイトルにも入っている「ドルイド」で、アイルランドから日本にやってきた帰国子女だが少しまだ常識的なところが怪しいプラチナブロンドにアイスブルーの瞳を持つ美少女、ホリン・シャレイリア。
サブキャラクターとしてはクラスメイトとして夏穂の友人、常識人な雪那知子。お嬢様系キャラでホリンの美少女ぶりに勝手にライバル意識を燃やす神代法香。ホリンの婚約者でちょっとイってしまっている系の変態紳士、アーサー・ランドルフランドルフがつれてくるアンドルイド(誤に有らず)のメカシャレイリア。他、ニワトリ四天王とか庭の樹を変化させたトリエントやホリンが連れてきた大量の動物達などが登場します。
・シナリオ
私立森野学園にある日突然、転校生の女の子がやってきた。しかも大勢の動物たちを一緒に引き連れて!! 彼女は由緒正しきドルイド(=自然の守り手)の一族なのだ。……って、ドルイドだかなんだか知らないけど、これではクラスが大迷惑!! 責任感の強いクラス委員長の夏穂は、動物たちを帰すように転校生に言い渡すのだが――。いつも一生懸命、でもどこかちょっとズレてる『ドルイドさん』が巻き起こす数々のトラブルに、世話焼き娘・夏穂が立ち向かいます!! 第4回MF文庫Jライトノベル新人賞<佳作>受賞。やめられない・とまらない・サクサク読める日常系コメディ!!第4回MF文庫Jライトノベル新人賞受賞作。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この作品はネタとボケとツッコミの宝庫でした。
基本的な流れとしては、ヒロインであるシャレイリアが常識外れなボケをかます→主人公であり委員長である夏穂がツッコミを入れる。というもので、それにサブ・キャラクターがボケの段階やツッコミの段階で関わってくる、というものでしたね。
ヒロインのシャレイリアに関しては、「間違ったドルイドイメージ」がそのままヒロインになった、という感じです。ドルイド―――金属を嫌う、自然を愛し、自分の森を守るなどが特徴で、自然と共に生きる遊牧の民―――というものから神秘性を抜き取り、樹などを初めとした自然に干渉する超常的な力…魔術を行使する―――という存在を作り上げ、そこにボケ要素を持つ美少女をはめ込めば、本作品のヒロインであるホリン・シャレイリアが誕生する、というところでしょうか。そんな「これがドルイドだっ!」と主張すると方々からツッコミを入れられまくりそうなのがヒロインです。
話の内容は、当初は転入してきたシャレイリアが巻き起こす珍騒動を描くもので、それを主人公である白川夏穂が巻き込まれながら事態の収拾を目指して奮闘する、というようなものになっています。それがやがてはクラスメイトである法香との文化祭劇対決になったりシャレイリアを追いかけてきたランドルフによる騒動になったりします。当初はシャレイリア本人が騒動を起こしますがやがて学校に慣れてきてからはシャレイリアが中心に居て、その周りが騒動を起こす、というものになる、という所でしょうか。
総じてこの作品は、ゆるゆるとした校風の学校に転入してきた早々、無自覚に嵐を巻き起こすシャレイリアというヒロインとそれに巻き込まれる形で接していくうちに仲良くなっていく主人公の白川夏穂との、ちょっと百合百合しい友情の物語、というところでしょうか。
ちょっとトボけた美少女ドルイドの引き起こす、変わった学園生活がこの作品では楽しめる、というところでしたね。第4回MF文庫J新人賞の佳作、ということですが受賞するだけあって、テンポの良い作品でしたー。