H+P1

H+P(1)  ―ひめぱら― (富士見ファンタジア文庫)

H+P(1) ―ひめぱら― (富士見ファンタジア文庫)

H+P−ひめぱら−

著者・風見周先生。挿絵・ひなた睦月先生。風見先生は同レーベルで「殺×愛」シリーズを完結まで書ききっており、この作品が同レーベルでの第2シリーズ…の、予定ですね。他には一迅社文庫から「女帝・龍鳳院麟音の初恋」という作品を同時期に発表されています。挿絵のひなた睦月先生は、カラーイラストやギャルゲーの原画、特典画像、などで活動されていたようですね。挿絵の仕事は今回が初めて、だそうです。
・登場人物
剣術が使える以外は堅物な一般的少年だったが、ユフィナたちにトレクワーズ王国に召喚され『王仕さま』とされてしまった主人公の神来恭太郎。
ヒロイン達は、トレクワーズ王国の第1王女にして炎の魔法を使い巨大な剣を振るって、トレクワーズ王国を守る為にカルタギア帝国の侵攻と最前線で戦う、勝気なユフィナ・アストリア・トレクワーズ。
第2王女でトレクワーズ王国の内政を病床の女王に代わって一手に担う、おっとりした性格のレイシア・ラトゥーイン・トレクワーズ。
第3王女でレイシアとは双子の姉妹、時期女王の座を狙っていて誰よりも恭太郎との仲を深めようとしてくる女王様気質なツンツン王女、エリス・レムリス・トレクワーズ。
第4王女だが魔力が低いため時期女王にとは誰からも望まれていない、その環境からも魔法ではなく科学に没頭していった黒髪おかっぱ眼鏡の、ちょっと暗い感じの性格をした、アルト・ファローズ・トレクワーズ。
第5王女は、王女姉妹の中で一番年下だが一番後宮で行う「そういう事」に関して詳しいマセた少女、という、年齢も10歳そこそこというアニメとかも大好きなメルル・シュシュリン・トレクワーズ。
他の登場キャラクターはトレクワーズ女王のエルトリーゼ。後宮での恭太郎の教育係であるピコル。トビカピパラに魔法で姿を変えられている元・王仕のアレスタ。敵国の女将軍―――グリアネラ、キスト、ムージ。そしてカルタギア帝国の幼女帝、カリギュラフィンランディア・カルタギア。
・シナリオ
ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ—…。神来恭太郎と向かい合わせでベッドに座っている第一王女・ユフィナが、ゆっくりと白い布地をめくり上げはじめる。「恭太郎、命令するわ…。私と、お世継ぎをつくって…」“トレクワーズ王国”の五人のお姫さまは、名だたる美姫たち。巨大な武器を手に国を護っている。そのお姫さまたちが、次の女王となるためには“お世継ぎ”をつくらなければならないのだ!!そんな“トレクワーズ王国”に、なぜだか召喚された高校二年生の神来恭太郎は、たった一人で五人のお姫さまたちを相手に“お世継ぎ”をつくる…ってことは、○○○しちゃうわけで!?嬉し恥ずかしなハーレム・ライフが新たに幕を開ける。(7&YHPより抜粋。)
・感想
これは  すごい  エロコメ小説  だっ!
当作品はもうこの一言につきましたね。前作である「殺×愛」シリーズが退廃的な世界で紡がれる生と死が隣り合わせの緊迫した世界での、極限での純愛ラブストーリー………そういった愛しさとせつなさと心強さと的な作品だったとすれば、この作品はそれとは最後のラブストーリー部分以外はまったく逆な、国的にはピンチな状況なんだけどそれを感じさせない明るい世界観での、エロさと呆れと軽さとの作品、という感じで前作とはまったく真逆な印象を覚える作品です。
話としては5人の王女様から続々と主人公である恭太郎が言い寄られる様子をラブコメチックに、しかしそこはかとなくエロスを漂わせながら描き、それらが終わった後で敵国カルタギアから攻められるトレクワーズ王国を守る為に王女達が奮戦する中、恭太郎はどんな行動を取るのか―――?という流れになっていて、この巻では所謂、主人公が異世界に呼ばれてから自分のこの世界でのアイデンティティを確立するまで、というが綴られています。
堅物主人公がただの堅物で恋愛ごとにお堅い系の主人公というのだけではなく、ある一定の刺激を越えて受け続けると女たらしだった父親の遺伝子が反応して野獣モードになってしまう、というのはただのお堅い系の主人公にはみられないギミックとして、これからどう物語に関わってくるのか気になるところですかね。
ヒロイン達に関しては―――正直、あまり真新しい性格、性質のヒロインは見られないですね。勝気、おっとり、ツンツン、ひっこみじあん、おマセさん―――悪く言えばどこかで見た事があるようなテンプレート・ヒロインたちばかりな気がします。逆に言うと突飛な性格をしたヒロインなどがいないので、ヒロインたちの人気などに関しては風見先生によるヒロインたちの『演出』にかかっている、ということになりますので、先生の力量次第でどのヒロインも魅力的になれる可能性を秘めている、ということでその辺りは今後に期待、となりますかね。
総じてこの作品、内容が「お世継ぎ」が必要な国で「子作り」のために条件に合う主人公が異世界から召喚されてお姫様たちに積極的に言い寄られながらドタバタなエロスでラブなコメディを演じる、というもので、その内容がエロス漂う内容だけに「富士見ファンタジア文庫でこういった内容をやるのか…これから先が色々不安だぜ…」と、思わずにはいられません。一応富士見ファンタジア文庫は中高生をターゲットにした学生向けライトノベルレーベルですし、この内容なら美少女文庫とかの、カバーの見た目がライトノベルっぽいエロ小説レーベル、とかの方がしっくりくるんじゃ…と、そんな印象を覚えましたね。しかし、エロスは中高生の目線を最も集めるといっても過言ではない題材。第2巻は読者の指示次第…とあとがきでも風見先生は書かれていましたが、心配せずとも順当に出るんじゃないかな、と私的には思いますね。