とらドラ!7

とらドラ!〈7〉 (電撃文庫)

とらドラ!〈7〉 (電撃文庫)

とらドラ!

著者・竹村ゆゆこ先生。挿絵・ヤス先生による学園超ド級ブコメの第7作目。今回はクリスマスが舞台ですね。
・登場人物
主人公で三白眼で目つきの悪い家庭的男の高須竜児、ヒロインで手乗りタイガーこと逢坂大河。この二人中心でサブキャラクターに大河の親友で竜児の片思いの相手・櫛枝実乃梨、竜児の友人で大河の片思いの相手、北川裕作。現役グラビアアイドルでクラスメートの川嶋亜美、他にクラスメート数名といった所がメインキャストかと。
・シナリオ
停学が明け、大河が学校に戻ってくる。折りしも世間はクリスマスの季節。クリスマス大好きという大河は、唐突にいい子バージョンに変身。一方、実乃梨は部活の試合でエラーをしたとかでふさぎこみ、竜児にもぎこちない態度を取るようになる。そんな中、新生徒会長・北村が、有志によるクリスマスパーティの企画を立ち上げる。竜児や大河、そして学園の公式美少女、亜美の参加もあり準備は盛り上がるが、実乃梨は相変わらず元気がなくて―。はたしてクリスマスパーティの行方は!?今回も目が離せない展開です!超弩級ブコメ第7弾。(7&YHPより抜粋。)
・感想
今巻はクリスマスを前にして竜児への態度が余所余所しくなった実乃梨に関する事象と、大河の突然の態度の豹変、それから亜美の意味深な発言などを全て飲み込みながら行われていくクリスマス・イブのパーティーの準備&パーティー当日の話、という展開です。
この巻では『良い子宣言』をした大河が、すれ違う竜児と実乃梨の間を持つ為に色々と画策したり奔走してあげたりする話になっていて、その合間に大河の『良い子宣言』の意味が語られたり、亜美が竜児に対して意味深な発言をしたり、実乃梨が何かしら思う所があるのか色々と失敗をしたりする姿が見られますね。
また、これまでの巻と同様の部分―――独身教師・恋ヶ窪ゆりの独身ライフに対する「孤独の空より来たりて切なる叫びを胸に我らは独りで生きる道を取る!」的な著者先生の本音が若干混じっていそうな叫びの文や、登場キャラクターたちそれぞれが時折見せるネタギャグ、或いは竜児の魔界転生など遊び要素もバッチリです。個人的過ぎる感想ながら、恋ヶ窪先生…幸せになっておくれよ、最終巻までにはさ…!と、この切なる叫びを7巻まで聞き続けていると、そう思わざるを得ません。でも幸せになったとしても最終巻なんだろうな、ネタが無くなるしな…とも思わざるを得ません。
超個人的な感想はさて置き、この巻は大きな変化のある巻でもありました。
犬呼ばわりしている竜児に対して大河が自分の本心を自覚したり、実乃梨がそんな大河の心境を知って竜児に対してハッキリした結果を出したり、女性陣はかなり色々な結論が出て行くイメージが大きいですね。その結論ゆえに竜児の行動に慟哭する大河という、これまでの巻に無い姿の大河が見られます。
男性陣―――こちらは竜児以外は完全チョイ役ですが、竜児はこの巻ではこれまで大河の為に影役に徹し頑張ってきた分を取り戻すかのように、実乃梨に対して色々とアプローチします。大河の手伝いもあって、これまでちょっとした進展くらいでしかなかった竜児と実乃梨の間に一気に色々な事が起きていました。その結末があれなのは、実乃梨としては大河の幸せを願うが故の結論なのでしょうが竜児的には悲しいですねぇ。ラストの展開での竜児の状態も納得してしまいます。
総じてこの巻は、竜児と実乃梨の間の定まっていなかった関係に実乃梨が粛々と終止符を打つ巻ですね。それにより倒れる竜児。彼が立ち直った時、果たしてどんな物語が彼を待つのか…次巻にはさらに展開を気にして注目ですね。