マブラヴ5

マブラヴ〈5〉ALTERNATIVE再起 (集英社スーパーダッシュ文庫)

マブラヴ〈5〉ALTERNATIVE再起 (集英社スーパーダッシュ文庫)

マブラヴ5 ALTERNATIVE 再起

原作・アージュの某人気ゲームのノベライズ作品ですね。著者は北側寒囲先生で、挿絵はBou先生で、この巻は原作マブラヴで言うところの「ALTERNATIVE編」始まりの巻です。
・登場人物
主人公は平行世界から突然転移してきてしまい、UNLIMITED編でBETAと人類の最後の戦いに挑んだ記憶を持つ白銀武。ヒロインには平行世界で軍事訓練兵である御剣冥夜榊千鶴。珠瀬壬姫。綾峰慧。鎧衣美琴。以上6人が同部隊の仲間ということで。他には機密計画「ALTERNATIVE4」に携わる謎の少女、社霞とその計画の責任者であり武が並行世界人だと知る香月夕呼。武たちの教官である神宮寺まりも。冥夜の護衛でもある近衛軍衛士の月読真那。征夷大将軍であり冥夜の双子の姉の煌武院悠陽などなど。
・シナリオ
目が覚めると、そこは見慣れた元の世界の自分の部屋だった…。地球外起源種「BETA」との絶望的な戦いに挑んでいたはずの白銀武は、なぜか再び平行世界に飛ばされた最初の時点に戻ってしまっていた。悲劇的な結末を知るものとして、今度こそ仲間を、そして人類を救うために未来を自らの手で変える決意をする武。しかしいつしか時は武の知らない出来事を刻みはじめる…。(HPより抜粋。)
・感想
この巻は前巻、UNLIMITED編の完了から続く最終章『ALTERNATIVE編』の、序章に当たる巻ですね。
この巻は前の巻であり、武にとっては一度過ごした時間である「UNLIMITED編」を、記憶を持ったまま過去に戻ったような形で再び辿り直す武が、未来―――ALTERNATIVE5が発動してしまう未来を変える為に色々と『前』とは違う行動を起こしていく話です。
UNLIMITED編で起こった非常事態を未然に防止したり、既にUNLIMITED編で鍛えられた肉体で仲間達の信頼をいち早く勝ち取ったりと、以前とは違う行動を武が取り続け、未来を変えようと様々な行動を起こしています。その過程で前巻まででは明らかにならなかった事実―――社霞の能力の真実や、夕呼が為そうとしてた計画の一端を知ったりして確実に武は未来を変えていきますね。そういった過去(或いは未来)を変えた結果、新たに起きる事態もあったりして武はこの巻でさらに色々な経験を積んでいきます。UNLIMITED編ではなかった戦術機に乗り込んでの実際の戦闘として、クーデター軍と戦ったり、実際にBETAを相手に戦ったりします。戦い以外でも、霞の能力と夕呼の立案した実験により彼女の計画の重要なヒントを持ち帰ったり、煌武院悠陽との会話で自分の中の自信―――闘う意味、立脚点を探したりと、この巻だけでもまた多くの経験とそこから武が感じた様々な考えが見られますね。そんな白銀武という男の、UNLIMITED編までの肉体的な成長度合いが見られるのと、この巻から武が積んでいく精神の成長がこの巻では見られますかね。
しかし実際のゲームと比べると、やはり少々文字だけと言うのは臨場感などには劣ります。戦術機が登場しその機動などのシーンには特にその辺りを感じますね。ゲームをプレイした人が、そのイメージの補完。或いはもう一度ゲームをしなおしたいけど時間が無い、という時にこれを読んで記憶の補完をしたりするには良いかと思いますが、本書からマブラヴに始めて触れる、というなら少々敷居が高くなってしまうかもしれないと思いますね。