VAクライシス

VAクライシス―奥様は人気声優 (ファミ通文庫)

VAクライシス―奥様は人気声優 (ファミ通文庫)

VAクライシス 〜奥様は人気声優〜

著者・吉岡平先生。挿絵・森田屋すひろ先生。吉岡先生は『コータローまかりとおる!』で作家デビューしてそれから『宇宙一の無責任男』シリーズなどを出されていますね。森田屋すひろ先生は『トゥルーラブストーリー』シリーズの小説やCDなどで活躍されています。
・登場人物
主人公で正規の大発明をした科学者、揚羽蝶一郎。有名声優で揚羽蝶一郎と極秘結婚した彼の妻、桜木巴。某国の特殊工作員、キム・チョンヨル。ジェフリー・マクファースン。馬美蘭。刑事の石原新治郎。桜木巴のストーカーの野間泰明。サブキャラの助手、九鬼陽子。そして黒幕、平群勇作。
・シナリオ
超人気声優桜木巴と新婚生活を楽しんでいたオタクな天才科学者揚羽蝶一郎が誘拐された。犯人は韓国秘密工作員キム。彼は揚羽博士の開発した代用窒素固定・炭素交換装置に隠されたトンデモない発明品を狙っていたのだ。だが、イギリスの秘密工作員に揚羽博士の身柄を奪われてしまう。キムは桜木巴に博士奪還の協力を依頼。中国の美人工作員を巻き込み、美女とオタクの首都高大追跡戦へと発展!初登場、吉岡平世界炸裂の第一弾。 (裏表紙より抜粋。)
・感想
かなり突飛で慌しい展開の、マニアックな話が多いディープな作品ですね。
オタク青年と人気声優が極秘結婚していて、その片方、オタク青年が世紀の大発明をしたことで世界各国の特殊工作員が次々彼を狙ってきて、それに人気声優の奥さんをはじめ刑事やら奥さんのストーカーやら色々な人が巻き込まれてドタバタしたカーチェイスを初めとした追跡劇や時には銃撃戦などを繰り広げる、という展開です。
アイドルが声優になることが1つの大きな話題となったり、現実の人の名前をそれっぽくいじって登場人物の名前にしているのですが、それが少し懐かしい人だったりと、時代を感じる作品でしたね。
しかしやはりマニアックな作品だったと思います。発刊当時でも読む人を選びそうですが、それから年月が経った今では中に書かれている風刺的描写などは時折何の事だったかわからなくなる部分もあり、今のライトノベル読者には訳のわからない話になってしまうのではないでしょうか。
ですが会話は軽くてテンポよく進みますので、会話シーンなどは小気味よく読めます。その内容を理解できるかどうか、内容を許容できるかどうかが問題点でしょうね。