プロジェクトMP

プロジェクトMP

著者・番棚葵先生。挿絵・よし☆ヲ先生によるスラップスティック美少女学園戦隊コメディ…でしょうか。私は未読ですが、著者の番棚葵先生はスーパーダッシュ文庫レーベルで「戦え!松竹梅高等学校漫画研究部」という作品を出していますね。
・登場人物
主人公でヒロインたち5人―――マナレンジャー――ーに正体を隠して”悪の怪人”をしている峰岸広瀬。メインヒロイン、広瀬の幼馴染で天然で若干のお子様趣味を持つ八重樫綾。陸上部のエースで明るい性格の谷川都。広瀬の従兄妹で1つ下なだけなのにロリコン分担当かと思うような容姿を持つ木崎華。実家がお好み焼き屋のキビしい風紀委員、熊谷祭。成績優秀な優等生だが体力面ではめっきり駄目な高見沢雪。世界に特許を幾つも持っている天才で、この話の種になる「プロジェクトMP」企画立案実行者の教師、天川学美。
敵側は『Bショック』という『美味なる物を捜し求めてやってくる』組織と、その構成員たる怪人や幹部などが出てきます。
・シナリオ
数人の女の子と妙に親しいこと以外は平凡な高校生活を送っていた峰岸広瀬。彼はある日天川学美先生に呼び出され、衝撃的で意味不明な言葉を告げられる。「あなた、悪の怪人になってみない?」学美は憧れの美少女戦隊を自ら作ったものの、その敵がいないことで頭を悩ませていたのだ。広瀬の受難の日々はここから始まった…美少女学園戦隊ギャグ!!(スーパーダッシュ文庫HPより抜粋。)
・感想
この作品は『悪の怪人役をやることになった少年の受難と自業自得』でしょうか。
スーパー戦隊が好きで好きで、好きが嵩じて自分でスーパー戦隊を作ってしまった女天才教師、天川学美。しかし彼女の計画には欠点が。スーパー戦隊…校内戦隊マナレンジャーには、敵がいないっ!敵がいないなら…こちらで用意してしまえ!そんな彼女に見込まれ、彼女の作り出したマナレンジャーの相手役として巻き込まれるのが主人公である峰岸広瀬。かくして広瀬の悪の怪人ライフと、マナレンジャーである彼の幼馴染や従兄妹、友人たちと付き合う二重生活がスタートする。しかし彼が悪の怪人役をやり、装備以外はごっこ遊びの域を出なかったマナレンジャーだったが、ある時本当に異次元からの侵略者が現れたからさぁ大変。学美はこれ幸いと侵略者達とマナレンジャーを戦わせようとするが、実力差はいかんともしがたく…果たして広瀬はマナレンジャーの面々に正体がばれることなく、彼女達をサポートできるか!?というのが大まかなこの作品の話の流れでしょうか。
基本的な雰囲気は、『戦隊ものを扱った美少女ゲーム』といったイメージが一番近いのではないでしょうか。主人公である峰岸広瀬は学美に雇われ、その正体を隠し悪の怪人役をしながら、しかし美少女戦隊側と日常生活においては普通に接する。その立場からマナレンジャー側の事情を知っていたりしていて、それを知らない振りしてさり気なくサポートしたりと、そんな彼の苦労が結構見所でしたでしょうか。また戦隊物にありがちのお約束「明らかに正体バレバレでも正体を隠す」や「敵の目の前で変身」や「見栄きり」「巨大ロボット戦」といった、戦隊シリーズもののお約束を踏襲していてそれらの展開も楽しめましたね。
そんな中で戦隊側の美少女たちひとりひとりがクローズアップされ、敵の怪人が関わったりしながらキャラクターの掘り下げがされていました。
総じてこの作品は地域限定のスーパー戦隊の活躍が書かれていて表面的にはその美少女学園戦隊の活躍を楽しめ、その裏では密かに苦労している少年がいて彼の東奔西走ぶりと彼を引っ張り込んだ天才物理教師の横暴っぷりが楽しめる、という二種類の形で楽しめる作品でしたね。