アストロノト!2

アストロノト!〈2〉 (MF文庫J)

アストロノト!〈2〉 (MF文庫J)

アストロノト!2

著者・赤松中学先生。挿絵・bomi先生による第3回ライトノベル新人賞『優秀賞』受賞作品の、続編です。
・登場人物
第1巻で月へ行って月面踏破者第1号となった、自分が恋している相手の感情が少しだけわかったり居場所が感じ取れたりする魔法『恋する共感<ラピン・シンパシア>』が使えるガルナの港町に住む少年ノトを主人公に、『人間計算機』の異名を持つ数字認識能力を持っている、ノト同様に宙士になって一躍時の人の1人となった部族の村を出てきた獣人/亜人―――獣耳と尻尾を持つラタラ族の少女ナキアミ、ノトの幼馴染でノトの『恋する共感』の相手でもある将来有望な魔法陣師レンビア、ガルニア軍宙将軍であり月面踏破計画でも先陣を切った、誰よりも『未開地開拓』に燃える宙士でもあるサベラ、ガルニア王国とは別の大陸の国―――ハヤン帝国の女帝王で超お祭り好きの子供皇帝で、前巻の月面踏破計画では最終的に月へ到達した計画のスポンサーとなったユァン。
今巻では新キャラでいつもボーっとしているが実はナキアミ同様に人間計算機であるラキザミ。宇宙好きな貴族のアローレンが登場します。
・シナリオ
魔法と科学が調和した不思議な世界―。働き者で運動神経の良さだけが取り柄の少年ノトは、幼なじみにして魔法陣師の肩書きを持つ女の子、レンビアのために部屋をプレゼントしようと家の建て増しをしていた。夢の同居生活を目論むノトだが、突然迷い込んできた謎の少女との仲をレンビアに勘違いされてしまい、しかも少女が言うにはこのままだと地球に巨大な隕石が墜ちてくるのだという―。はたしてノトは隕石の落下を阻止できるのか?そしてどうなる、レンビアとの同居生活!?ライトノベル新人賞“優秀賞”受賞作家が送るスペース冒険ファンタジー第二弾。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この巻は単純に月へと向かう事が主目的だった前巻同様に、多層の計画でもって達成すべき最終目標が設定されている話でしたね。
この巻はズバリ言うと『アルマゲドン』です。映画の。
ノトたちが住む街、ガルナに、ある時国の行く末を占ったりする高い的中率を誇る預言者たちが1つの悲劇を告げる。それは、巨大な隕石が町に落ちて国は壊滅。世界は暗黒に覆われる―――と。時同じくしてノト屋の前で行き倒れていた少女。彼女はラキザミと言い、彼女はナキアミが計算した結果と同じ計算結果を告げて巨大隕石落下が間違いないことを示す。『ネロ』と名付けられた巨大隕石の落下を食い止めるため、ノトたちは再び宇宙へ向かう―――。この巻はそういった流れです。形としてはそのまま映画の『アルマゲドン』ですね。ただ映画と違うのは、この作品は多数人種により一致団結が中々取れなかったり、種族的な対立などによる妨害工作が為されたりして、宇宙に飛び出すだけでもノトたちが苦労するということでしょうか。中々完成しないロケット。ある人物による妨害工作とネロ出現の真意。それらが宇宙に行くまでや行った後も、色々とノトたちの障害になっていましたね。
ですが、巨大隕石を何とかしに行く、という目的だけに宇宙に出てからはスケールの大きな印象で、派手な動きが多々ありました。巨大隕石ネロの破壊のために旧文明の遺産を使用したり、前巻でも名前だけ出て使用されなかった立体魔法陣が使用されようとしたり、スケールの巨大な隕石を相手にこちらもスケールの大きな方法で…と、ネズミ算的に派手さは増していっていました。
新キャラクター・ラキザミについては、話を進めていくうちに正体が明かされる前からその正体は何となく推測できていましたが、その事も考慮してのラキザミの立場を明かす所は、少々込み入った説明的セリフが多かったですが自分が想像していた正体+α、といった感じで上手く描かれていましたね。
しかしながらこの作品シリーズは未来から人が来たりしていて、登場人物が時間の上では何時の誰なのか、が少しわかりにくいかもしれませんね。時間の概念自体は『時間樹の概念』を使っているので漫画家・長谷川裕一先生の著書「クロノアイズ」なんかを読んだ事がある人なら簡単に理解できるのではないでしょうか。