レンタルマギカ13

レンタルマギカ―魔法使いの記憶 (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ―魔法使いの記憶 (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ13 魔法使いの記憶

著者・三田誠先生、挿絵・pako先生による異種魔法格闘戦ノベル、ですかね。三田先生は他にスニーカー文庫「精獣戦争」シリーズなどを書かれていて、pako先生はPS2ゲーム「シャイニング・フォース イクサ」などの原画を描かれていますね。
・登場人物
主人公の魔眼持ちで社長の伊庭いつき。ヒロインにアストラル社員でケルト魔術使いの穂波・高瀬・アンブラー。サブキャラクターに陰陽道でオカルト雑誌や占い誌でライター業を営む猫屋敷蓮、小学生だが巫女でもあり過去の辛い思いを乗り越えてひとつ大きくなった神道の葛城みかん。騒霊現象<ポルターガイスト>を起こせ加えて顕現現象<アポート>も使えるようになった文字通りアストラル幽霊社員の黒羽まなみ。先代アストラルメンバーで、両界曼荼羅を使う頼れる兄貴的な密教法師の隻蓮。第10巻から登場の新キャラクターは、ルーン魔術使いでアストラル会社員としても有能な敏腕新入社員、オルトヴィーン・グラウツ。以上が魔法使い派遣会社「アストラル」陣営という形で。
純正魔法使い集団「ゲーティア」陣営ではありますが、アストラル経営権の2割を持つ大株主という立場を持つとして、穂波同様ヒロイン格ということでソロモン王の魔術使いアディリシア・レン・メイザース
この巻では過去の話が入っていて、そちらでの登場人物として隻蓮、新キャラ?の柏原代介などが登場します。
・シナリオ
静かに燃えさかる炎の前、印を結び、呪文を紡ぐ男―その名は猫屋敷蓮。執り行う儀式は最悪の魔術“呪詛”。己の目的のために人を呪う禁忌に手を染めた猫屋敷の前に、“協会”の「魔法使いを罰する魔法使い」が現れる。ふたりの強大なる魔法使いが激突し、交錯する魔術の光が夜の闇を引き裂く!猫屋敷が放つ符に込められたものは、信念か、それとも妄執なのか!?猫屋敷と“あの男”との因縁がついに明かされる、絶好調異種魔法格闘戦。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この巻は長編の合間に入る短編集ですね。
「魔法使いの査定!」「魔法使いの代理授業」「魔法使いの約束」「魔法使いの出会い」。以上の4話が収録されています。新入社員オルトヴィーンにより文字通り他社員の査定が行われて、その対象となったみかんとまなみはキビしい査定にてんてこ舞い。その中でかつて、アストラルが仕事として請け負い苦い最後を迎えた出来事にみかんが再び向き合う「魔法使いの査定!」。この中ではみかんとまなみがそのかつて苦い最後を迎えた仕事に、自分の意地と信念で再び立ち向かっていく姿が印象的でした。
英国首都・ロンドン、魔法使い達の本場で前巻の事件が原因で授業が出来なくなった穂波とアディリシアの先生の1人マクレガー教授の頼みで、アストラルがその代理授業を請け負うことになり、その最中、ジャック・オコナーにいつきが魔術決闘を挑まれる。話としてはアディリシアの話になる「魔法使いの代理授業」。いつきが魔術決闘の中で、魔法の本質に触れていてアディリシアの魔神との『契約』を見ている姿が印象的でしたね。
ウェールズへ、ユーダイクスの新しい体のためのヤドリギの枝を取りに行く最中で起きる、妖精眼が引き起こした回帰の呪派汚染の中でいつきと穂波が以前結んだ絆/魔術的パス―――を再確認しながらフィン・クルーダの過去の幻影と戦ったりする「魔法使いの約束」。久々の登場のフィン(幻影ですが)と、いつきが五行拳で戦う姿が見れました。そして穂波といつきの間に通っていたパス。この深さを垣間見れるのも興味深いです。
そして過去のアストラルの話である、「魔法使いの出会い」。猫屋敷がまだフリーで、呪殺などを引き受けながら暮らしていた頃、アストラルに隻連や新キャラ?の柏原がスカウトする時の話が書かれています。猫屋敷が昔から陰陽道神道に深く関わっていたのがわかりましたし、そうでありながらも過去と今とでは性格的なところが全然違い、年月の流れを思い伺えましたね。アストラルに入ってから何があったのだろう、とか。そして新登場?の柏原代介の正体には驚きました。というか、あの人もアストラルだったのか。何があって今、あそこにいるのだろう?と。