白銀のソレイユ

白銀のソレイユ -Engagement with Valkyr- (ファミ通文庫)

白銀のソレイユ -Engagement with Valkyr- (ファミ通文庫)

白銀のソレイユ −Engagement with Valkyr−

著者・深川拓先生。挿絵・蔓木鋼音先生によるゲームのノベライズ作品ですね。とは言っても、コンシューマーではなくパソコンゲームの方ですが。挿絵は原画家の人がそのまま書いているようです。著者の他著作は同レーベルのファミ通文庫から『らぶドル〜solo etude〜』なるものを書いているようです。
・登場人物
主人公でソルとハガルが契約をした相手、主人公らしく朴訥純情正義感溢れると揃った村上琉平。古代遺跡から蘇った『ベルセルク』に立ち向かう琉平を認め、助ける為に現世に復活したヴァルキリーであり超常の力を持つ少女ソル・ヴァルキリーと、その成年体とも言えソルと肉体を同じくしながら別意識を持つハガル・ヴァルキリー。琉平の幼馴染でクラスメイト、従妹で婚約者でもある浅海澪璃。琉平の姉である村上珠子。体が弱いが休んでいる時にソルと仲良くなる琉平や澪璃のクラスメイトの来島詩帆。珠子のお目付け役的に学校では振舞う教師の海良宜深吾。
敵は『ベルセルク』と呼ばれる鱗の様な装甲を持つやら蜘蛛っぽいのやらと様々な形状を持つ種族。まぁ、基本的なモンスター、といったところですか。
他、ゲームでも脇役として登場する琉平たちのクラスメイトが名前持ちで数人、といったところですか。
・シナリオ
アイスランドに存在する遺跡から蘇った“ベルセルク”。姉を護るためその化物に立ち向かった村上琉平は、勇敢な心を認められ、ヴァルキリーの少女・ソルと契約を交わす。化物を退け帰国した2人だが、ベルセルクは琉平の暮らす街にも迫っていた。ソルと心を通わせ、許婚の澪璃やクラスメイトたちを護ろうとする琉平。しかし、自分の中の琉平への想いにソルの心は揺れ始めて……。2人の戦いの行方は!? 美少女ヴァルキリーサーガ、待望のノベライズ!(ファミ通文庫 FB Onlineより抜粋。)
・感想
大変基本的な美少女アクション風アドベンチャーゲーム、その文庫版化作品、といった感じですね。恋の話、戦いの話、悲しい話に、成長の話。一種中二的な設定がそれらに拍車をかけながらも短い文庫の中になんとか纏めて1つの話としてあります。とても基本的な物語を美麗かつ萌え系の絵で盛り上げていく―――そんな流れですね。
登場人物が何人もいますが、中心はソルの心の交流の物語、ではないでしょうか。自分の主人=マスターである琉平との信頼関係や淡い恋心的な交流、学校で知り合った来島詩帆との友情を育む交流。そんな、まだ成長途中のソルの、心の成長譚のがかなりの割合を占めていますね。
バトル面では、こちらも苦戦と心の成長からのパワーアップと逆転、と少年漫画的な盛り上がり方で進んでいきますね。基本形態から別形態―――ルーンによるフォームチェンジなどは、昨今のヒーローもの的で良かったと思います。
最終的な敵とそれまでの潜伏具合も、「たぶんこいつは敵になる!」と思いながらその通りになっても、「やはりか…」と思える見事なバランスでした。
しかしながら微妙に活躍の場が無い登場人物たちもいて、そのあたりはもう少しバランス取りできたのではないかとも思えます。とはいえそれも、ゲーム版だと補完されていて文庫化に際して削ったりした部分、省略した部分などがあってそのため少なく感じるのかもしれませんが。