ふりふろ♪2

ふりふろ♪ 2 (GA文庫)

ふりふろ♪ 2 (GA文庫)

ふりふろ♪2

著者・土田奥郎先生、原作・高崎とおる先生で、挿絵がすーぱーぞんび先生です。高崎先生は著作にファミ通文庫からの『オオカミは懐かない!?』というものがあるそうですね。
・登場人物
主人公で魔法使いの伯爵公子だが世界を支える宝珠<コーナーストーン>を砕いてしまい、蛙神ディングルと半融合し興奮状態になるとディングルに変身する、という状態で超スケベ蛙のディングルと一緒に砕けた宝珠を捜す旅に出ることになったエリオット。エリオット共に宝珠を砕いた場にいたエリオットの従者の拳銃使いティアナ。旅に出てから知り合った商人の娘で、旅の間の情報収集や糧秣集めを一手に担うカーロッタ。エリオットたちが立ち寄った国(前巻)で知り合った貴族の騎士で親衛隊長で、エリオットたちの宝珠の欠片集めを手伝う為に同行する事になったシグルド。体力とか腕力とかは規格外だが頭の中身の方まで規格外すぎるシグルド配下となった親衛隊員の強力三兄弟。
女を戦わせる闘技場で支配人をしている謎の女スージー。闘技場で奴隷闘士をしていた錬金術師のバニー。エリオットの魔法使いとしての先生であり、多芸で豪快な学者のランディ。サブキャラクターは今回はこの3人、といった感じですかね。
・シナリオ
「うわーうわー暑いんじゃあ!」
強力三兄弟は、自分たちのズボンの足元の裾に手をかけると、一気に引き上げた。軍服がびりびりと引き裂かれていき、あっという間に三人は一糸まとわぬ全裸になった。
「おう、脱いだら暑くなくなったぞ」
地図に載っていない街にたどり着いたエリオット一行。そこで彼らを待っていたのは、なんと人々が下着同然の格好で暮らす街だった!
ティアナやシグルドまで服を脱ぎたくなる不思議な街に宝珠の匂いを嗅ぎ取った一行は、この街に留まって宝珠を探すことにしたのだが…。
「そういうわけだから、あのガゼルの角、全部で四セット頂戴」
「僕は着けないよ!?」(裏表紙より抜粋。)
・感想
この巻でも、宝珠の欠片を探して新しく仲間に加わったシグルドと強力三兄弟を交えて色々と面白くも変なことをしているエリオット一行でした。しかし今巻は、前巻よりは陰謀とか思惑とかそういった雰囲気は為りを顰め、若干行き当たりばったり的に、何かしらの事態が起きては対処し、で話が進んでいる感じで終始後手後手に対応している印象が強かったですね。突拍子も無く事態が起きるので、毎回場当たり的に対応している―――つまるところ、作者先生が話の流れは考えながらもその場その場、思いついた笑える/エロい/変な話 を、綴っているようにも感じられました、って事で。この巻では訪れる都市に住民達が半裸になる、という魔法が掛かっているので、前巻よりも自然とエロス分というかポロリ分というかが表現されるようになっていましたね。そういった細やかなところはきっちり先に考えられているのが面白くもありました。
今回のバトル面は、前巻よりも派手にかつファンタジックになっていましたね。魔法+機械という装甲強化服なんて物が出てきた前巻から一転。今巻では古の眷属が巨大登場して家を越えるサイズのディングルと魔法合戦をしたりと、前よりも派手になっているところは前よりも見て面白いものを、という考えの産物かな、と思いました。
しかし、この巻で最も面白かったのはエロス分やバトル面ではなく、ギャグ分でしょうね。
前巻で一発キャラかと思われる立場だった敵側の親衛隊として登場した強力三兄弟。この三兄弟の底抜けの馬鹿っぷりは、一見の価値があると思います。唐突且つトンデモな行動を起こす、その行為はとても本能的で理性を考える脳みそがピコグラムさえないのではないか―――思わずそう思ってしまう。でも憎めないどころか愛嬌さえ感じてしまうそんな『愛すべき馬鹿』、強力三兄弟。馬鹿な子ほど可愛い―――読んでいるうちにそれを感じてしまうその存在感は、それだけでこの「ふりふろ♪」シリーズを続刊も購読しよう、と思えてしまうくらいでしたー。