レンタルマギカ9

レンタルマギカ―魔法使いのクラスメイト (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ―魔法使いのクラスメイト (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ9 〜魔法使いのクラスメイト

著者・三田誠先生、挿絵・pako先生による異種魔法格闘戦ノベル、ですかね。三田先生は他にスニーカー文庫「精獣戦争」シリーズなどを書かれていて、pako先生はPS2ゲーム「シャイニング・フォース イクサ」などの原画を描かれていますね。
・登場人物
主人公の魔眼持ちで社長の伊庭いつき。ヒロインに新入社員でケルト魔術使いの穂波・高瀬・アンブラー。サブキャラクターに陰陽道でオカルト雑誌や占い誌でライター業を営む猫屋敷蓮、8歳の小学生だが巫女でもある神道の葛城みかん。騒霊現象<ポルターガイスト>を起こせ加えて顕現現象<アポート>も使えるようになった文字通りアストラル幽霊社員の黒羽まなみ。先代アストラルメンバーで、両界曼荼羅を使う頼れる兄貴的な密教法師の隻蓮。以上が魔法使い派遣会社「アストラル」陣営という形で。
純正魔法使い集団「ゲーティア」陣営ではありますが、アストラル経営権の2割を持つ大株主という立場を持つとして、穂波同様ヒロイン格ということでソロモン王の魔術使いアディリシア・レン・メイザース
この巻でのゲスト登場はいつきや穂波のクラスメートで委員長をしている一般人の功刀翔子。いつきと親しいクラスメートの山田和志。養護教諭の苫小牧千鳥。ヴェネツィアが舞台の話ではラウラ・コンティーニ。今回登場のキャラクターは大体が一般人ですね。
・シナリオ
水の都ヴェネツィア。情緒あふれるこの地を訪れたのは、もうひとりの「妖精眼」を持つケルト魔術師・フィン。しかしゴンドラ乗りの少女とフィンの夢のようなひとときを1発の銃声が打ち破った。復讐に燃えるフィンは怨嗟の魔法で銃器を構える男達ごと街を火の海に変える。炎が水路を照らす時、フィンの前に立ちはだかったのは密教使いの隻蓮。遠い異国の地でケルト魔術のヤドリギの槍と密教の呪文が激突する。大人気異種魔法格闘戦。(裏表紙より抜粋。)
・感想
この巻は短編集で、全4話が入っています。内3話がいつものアストラルの面々が主軸になる短編で、残るひとつは「レンタルマギカ 〜竜と魔法使い」で登場したフィン・クルーダが主軸の話でした。
「魔法使いと神隠し」。TV版で第1話を飾った話ですね。それだけに「レンタルマギカ」シリーズとしては結構基本的なことが大体入っている話になっているのではないでしょうか。
「魔法使いのヤマイ」。完璧超人っぽい穂波が病気で倒れる話でした。素直な穂波という普通見れない姿が見られて新鮮&素直な穂波の可愛さと正気を取り戻した時のギャップが面白い話でもありましたね。
「魔法使いと終業式」。昔語りの話になってますね。かつて先代アストラルと関係したことがある苫小牧千鳥養護教諭。いつきや穂波、アディリシアが魔法使いであることをそれとなく悟った彼女が昔の事を彼らに話す、というもので、過去の隻連やユーダイクスの姿が見られたり、幼少時の妖精眼を持ってしまったばかりの頃のいつきが見られ面白かったですね。
「魔法使いと水の都」。これまでの短編とは一線を画し、主軸はアストラルの面々やいつきではなく、そのライバルキャラであるフィン・クルーダ。妖精眼を持つが一風変わった考え方で生きている彼が巻き込まれた事件を顛末まで含めて書かれていて、敵側に立っているフィンですが厳密には<悪>というわけでもないんだよな、と再確認できる話でもありましたかね。それでも最後の件でフィンがやはり真っ当ではないのだな、ということも再確認でした。また、隻蓮がフィンを探し当て、妖精眼による天才ケルト魔術VSベテランが使う密教という、異種魔法決闘が見られていてその辺りも面白かったです。