レンタルマギカ6

レンタルマギカ 魔法使い、修行中! (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ 魔法使い、修行中! (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ6 〜魔法使い、修行中!

著者・三田誠先生、挿絵・pako先生による異種魔法格闘戦ノベル、ですかね。三田先生は他にスニーカー文庫「精獣戦争」シリーズなどを書かれていて、pako先生はPS2ゲーム「シャイニング・フォース イクサ」などの原画を描かれていますね。
・登場人物
主人公の魔眼持ちで社長の伊庭いつき。ヒロインに新入社員でケルト魔術使いの穂波・高瀬・アンブラー。サブキャラクターに陰陽道でオカルト雑誌や占い誌でライター業を営む猫屋敷蓮、8歳の小学生だが巫女でもある神道の葛城みかん。騒霊現象<ポルターガイスト>を起こせ加えて顕現現象<アポート>も使えるようになった文字通りアストラル幽霊社員の黒羽まなみ。先代アストラルメンバーで、両界曼荼羅を使う頼れる兄貴的な密教法師の隻蓮。以上が魔法使い派遣会社「アストラル」陣営という形で。
純正魔法使い集団「ゲーティア」陣営ではありますが、アストラル経営権の2割を持つ大株主という立場を持つとして、穂波同様ヒロイン格ということでソロモン王の魔術使いアディリシア・レン・メイザース
この巻ではゲーティア陣営の関係者として、アディリシアの世話役であるメイド長のダフネ、彼女の友人で彼女と同じにオズワルドの徒弟だったクライヴ、ガラなどが出てきますね。
・シナリオ
ゲーティア>の首領であり、ソロモン王の末裔として72の魔神を召喚するアディリシア。しかし彼女の使い魔フォルネウスが突然コントロールを失い、こともあろうか彼女に襲いかかる。裏切り者の手によって、彼女は一切の魔法を封じられた上、魔神はすべて敵の手に渡ってしまったのだ!そして最強の魔神アスモダイがアディリシアに牙を剥く!いつきはアディリシアを救い出せるか!?召喚魔法VS妖精眼。異種魔術格闘戦第6弾!(裏表紙より抜粋)
・感想
この巻は短編集です。前々巻で起きた『竜』騒動が一段楽したあと、アストラルやゲーティアの面々が何をしていたのか、が全4話で書かれていますね。
「魔法使いと赤い槍」。いつきの修行話。隻蓮に体術の修行を請うたいつきが、五行拳という武術の修行をしている姿が書かれています。その修行の中で陥る危険にいつきが自分の眼、<妖精眼>との付き合い方を知る、といった話が主になるでしょうか。珍しいといってはなんですが、いつき個人に主軸を置いた成長譚でしたね。
「魔法使いとクリスマス」。クリスマスを前にしていつきがこっそり誰かに贈るプレゼントを用意しようとしている事を知った穂波、アディリシア、まなみの3人。送る相手が気になる3人はいつきの後をつけ始め、その顛末が書かれています。所謂「楽しい魔法の使い方」をしている話になるんですかね。これまでの『レンタルマギカ』で書かれていた、誰かの陰謀とか思惑とか、妄執や怨念といった血生臭い要素や暗い情念の無い、いつきが主軸になる単純かつ明快に魔法を使い誰かを幸せにしようとする話、でしたね。それと同時に穂波とアディリシアとまなみの3人がいつきの挙動に悲喜交々とする姿も楽しめる話であったとおもいます。
「魔法使いとソロモンの血」。アディリシアメインの話、その表側。或いはA面、といったところですか。弟子の裏切りで魔神を召喚できなくなったアディリシアが、魔神を取り返そうとして行動し、いつきがそんなアディリシアの状態を知って協力しようとし、その過程でアディリシアといつきの仲は深まり、さらにアディリシアがパワーアップ…というか、スパロボ風に言えばいつきとの『合体攻撃』を編み出す、と言えるでしょうか。までしてしまう―――と言いますか。ぶっちゃけて言ってしまえば、そういう話です。また、魔神無くともアディリシア変わらず、を見れると共に第1巻で登場したアディリシアの父、オズワルドとその弟子たちというのが見られゲーティアの内面が少し見られる話でもありましたね。
「魔法使いとソロモンの絆」。前話である「魔法使いとソロモンの血」の裏側の話。いつきとアディリシアが魔神を取り戻そうとしていたのと同じ時、彼らがいないとある場所ではアディリシア付きのメイド長・ダフネと隻蓮がA面での出来事の黒幕的存在と対峙していた―――そんな話です。またこちらの面ではA面よりもオズワルドとその弟子たちの内情が詳しく語られている話でもありましたね。第1巻での出来事のきっかけを作った者。『螺旋なる蛇』の介入。そんなA面での裏事情が語られている話、でしたね。