くみちょ!

くみちょ! 組長は小学4年生 (くみちょ! シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)

くみちょ! 組長は小学4年生 (くみちょ! シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)

くみちょ!〜組長は小学4年生〜

著者・白川晶先生。挿絵・きりがみやび先生による新シリーズ作品ですね。著者は他には「KLAN」シリーズなどを書いていたそうです。
・登場人物
主人公で一般人だったが、親の借金のカタに893に売られてそこの組長のおもり兼ボディーガードみたいなことをすることになったオタク趣味を持つ鏡圭一郎。ヒロインでタイトルでもある小学4年生で極道の組長をする住川あゆみ。他に、圭一郎の幼馴染の笹原恵、極堂関係者の樹虎湖堂、清水斑、敵役には黒田とその一味などです。
・シナリオ
平凡にオタク趣味を満喫しながら学校に幼馴染との生活にと暮らしていたが親の借金のカタに広域指定暴力団に売られた主人公、鏡圭一郎は、売られた先の暴力団『住川会』の組長住川あゆみが小学4年生の少女であり、オタク趣味が合ったこともあって九死に一生を得てあゆみのおもり兼ボディガードをして暮らすことになる。だがちょうどその頃、代替わりしたばかりの住川会は、あゆみが組長として今まで通りの上下関係で認めるかどうかなどで他の組などと揉めているところだった。やがてそれらの決着は賭場でつけることになるが、その賭場で住川会を背負って挑む事になるのは成り行きとあゆみからの信頼から圭一郎になるのだった。果たして圭一郎は本物の賭場での賭博勝負に挑む事になる。
―――だが、その賭場で使われる勝負内容は………子供向けカード・ゲームだった!? 果たしてオタクVSヤクザのカードゲーム勝負の行方は!? といったところで。
・感想
文章上では会話シーンは描写よりも会話のやり取りが重視されていて、読むテンポは良いです。ですがその分、ずいぶんあっさりした感じになっていましたね。
訳ありで我侭な組長の付き人というかおもりというかボディガードをすることになった圭一郎=主人公という、典型的な周囲環境激変による物語の導入でしたが、逆にするっと話に入れた感じで、良い具合に作用していましたね。
また、さり気なく毒を交えた会話が入ったりしてシュールな面白さがありました。
某週刊誌からスピンアウトして漫画にアニメにゲームにと幅広く展開したカードゲーム遊○王カードのパロディというか、オマージュというべきなのかの『遊撃王カード』というもうどうみても「あれ」ですありがとうございました、な設定を使い、オタクVSヤクザという面白い構図を書いたのはアイデアの勝利でしょうか。賭場でお馴染みのサマなどが使われていたりして、カードゲームでイカサマしているのですが、何故か普通に某週刊誌で連載されていたりした漫画のような展開になっていく辺りがこれまたシュールでしたね。(苦笑
読みきりな感じであっさりとはじまりあっさりと終わる。その加減が良くて最初から最後まですぱーっ、と読めてしまう作品でした。