エクスプローラー5

エクスプローラー5 学園三昧

著者・北山大詩先生。挿絵・石田あきら先生による、ミステリアス・アドベンチャー作品のシリーズ第5段にして初の短編集ですね。著者は「第五回富士見ヤングミステリー大賞」で奨励賞を同シリーズ第1作で頂いています。
・登場人物
主人公で透視能力を持つ霧元透。ヒロインで超聴覚を持つ水瀬響、サブキャラクターとして超嗅覚を持つ深芳薫、クラスメートで情報屋の椎名総一郎、特異能力を持つ猫の桃、といったところですかね。
・シナリオ
全体的に緊張感無く、透たちの日常風景を追いかけるのが中心の短編集ですね。
値打ち物のお宝人体骨格見本を捜す依頼や、メイド服の似合う国流高校生徒を探す依頼などをエクスプローラー・サイトで受けたりして、小さくとも危険の無い仕事をこなしたりしている間に透と響が関係を深めたりしてバカップル化したりと、そういった何気ないけど忙しい学園生活の風景を中心に書かれていました。
・感想
全般的に日常風景ということで、透と響を中心にした学園生活がほのぼのと、時にエクスプローラーの仕事と言う事でちょっとだけバイオレンスがあったりしつつ書かれていました。
学園祭で透と響がバカップルとしか言い様の無い行為をしながらも楽しんでいたり、総一郎が薫に懸想する上級生を相手に空回りしたり、高額報酬に惹かれて受けたエクスプローラーの仕事がなんとも馬鹿馬鹿しい物だったりと、多種多様な出来事が書かれていたわけです。
若々しく学生らしい躍動感が多く、読んでいる内に楽しさを共有できる…そう言った空間に自分が居る錯覚さえ覚えられる作品でしたね。
難点と言うか、エクスプローラーとしての活躍と言う点では小ネタとして流されている事が多かったのが残念ではありました。透視能力を駆使したり超聴覚、超嗅覚の出番が少なかったのが「エクスプローラー」としては少し物足りなかったかな、と。