魔王降臨!

魔王降臨! (ジグザグノベルズ)

魔王降臨! (ジグザグノベルズ)

魔王降臨!

著者・吉野匠先生。挿絵・藤井利秋先生による現代ファンタジー小説ですね。
ある日、平凡に過ごしていた主人公である藤城耕作が、ちょっと気になるクラスメイトの女の子と急接近してドキドキと浮かれていたその前に、魔界4巨頭の1人と言われるエリシアルが姿を表したことから物語は始まります。エリシアルの目的は、人間界に転生した筈の自分の主君「魔王ヴァルドス」を探す事。その為に降臨し、たまたま目の前にいた耕作を手下宜しく下僕宜しく扱いだすエリシアル。そしてエリシアルを追ってやってくる親ヴァルドス側の魔界4巨頭の1人デュカキスや、エリシアルとデュカキスと敵対する反ヴァルドス側の魔界4巨頭のグロアム、レイミが現れ、仲良くなりつつあったクラスメイトの女の子の杉村雪絵などを巻き込んでの「魔王ヴァルドス探し」がエスカレートしていく。果たして魔王ヴァルドスは何処に…?といった第1章と、それらが一段楽した後、人間界に残る事にしたエリシアル、デュカキスと一緒に暮らす耕作の元へ雪絵もやってきて始まる新生活。そんな中で耕作と雪絵はデートをする事になるが、エリシアルはそれが気に食わないので邪魔をしようと二人を追いかける…といった第2章、といった感じでしょうか。
当初の展開は魔王を捜すことと、エリシアルたちの敵対勢力であるグロアム・レイミとの戦いがメインですか。それと主人公らしく、耕作の奮闘と彼に隠された秘密が明かされること。それらで第1章終了で、第2章になると耕作と雪絵のデートをメインに据えたラブコメチックな展開が広げられます。
感想としては、まったくもって10代向けの小説だなぁ、といった所です。魔族固有の能力「デーモンスキル」の存在や、お約束な秘密を持つ主人公、ヒロイン2人にやたら好かれる主人公と対照的なまったく袖にされ続けるサブの男、出てくる敵は微妙に強いけど主人公やヒロインほどじゃないのであまり緊張感の無いバトル、など、結構王道的な面の強い中に少し意表をついたところのあるダブルヒロイン型の現代風ファンタジーバトルな物語かと。
総評して、作品としてはややB級なイメージがありますね。
転生した魔王を追ってやってきた悪魔っ娘ヒロイン。主人公と仲良くなりつつあったクラスメイトの女の子。そんなダブルヒロインに好かれてあたふたしている合間に、魔界からやってくる相手とバトルをするヒロインたちにまたあたふたする主人公…と、典型的な巻き込まれ型の主人公が何とか事態を越えていくという一種の成長譚的ながらも、メインに据えられていると思しき視点はヒロインという微妙な視点。
また、引用されているのが少し古いアニメからのものだったりと、そう言った点でも若干 古さ=使い古されている感じ=B級 という感を覚えましたねー。