あんでっど☆ばにすた2!

あんでっど★ばにすた〈2!〉 (電撃文庫)

あんでっど★ばにすた〈2!〉 (電撃文庫)

あんでっど☆ばにすた2!

著者・鈴木鈴先生。挿絵・かなたろう先生によるコミカル・アクション作品です。
特殊な異能力「五法」が世界的に認識され行使する者たち<五方相>がいる世界観で、主人公である荻原真尋の活躍をメインに、ヒロインの御船冬子や周りの人間や不在体<アンデッド>たちの活躍、日常、事件を書いている作品ですね。
この巻では前巻で友人になりながらも敵役でもあったセフィラ・リンガリンガが真尋たちの学校に転向してきて日常生活に溶け込む件の話と、それと時同じくして新キャラクター・東城小弓が冬子を相手に恨みの念を燃やして転校してきて、真尋を利用して冬子に一矢報いようとする。だがそれは真尋が五方相であるために失敗し、小弓は怒りから五方相の執事に真尋の誘拐を命じる。しかし小弓の雇っている五方相の執事は、真尋の師であり超強力な五方相にして不在体であるリシェル・ウィキシントンの古い知人で、何かしらの目的を持って小弓に近づいていた。それを知った真尋は単身で小弓を救うために動くが―――という感じで。
新キャラクターの超ワガママお嬢様・東城小弓がその性質から窮地に立つのを真尋が助け、その過程所上で強敵と戦う。だけど真尋は勝てず、最後には周りの助けを受けて事件を解決する、という新キャラクターによる暴走で起きた事件を協調での勝利で解決がメインで、合間合間に小ネタ的な話や伏線っぽい物を張ってあったりする…そんなところでしょうか。
新キャラクターの東城小弓は本当に「嫌なお嬢様」として見事に書かれていて、上流階級ということで「他人は下僕」的な嫌キャラが見事でした。その分、窮地に立って彼女が救いを求めている時にかけつける真尋が割増で格好良く感じられました。
そして敵役の五方相執事アルベルクとその不在体の従者カミル。
異常な性質を持つマッド・サイエンティストのアルベルクは、狂科学者にありがちな頓狂な言動が面白く、カミルはその行動理念が異常で薄ら寒さを感じさせてくれるキャラであり、どちらも敵として魅力的なキャラクターでした。
総評して、この巻は前巻との繋がりはあまりなく前巻の事件とはまったく別の事件、といった感じです。
超ワガママなお嬢様の態度を許容して生暖かい視線で読める心の広さ、「灼眼のシャナ」のダンタリオン教授ほどではないですが、狂科学者とか好きな方なら楽しめるのではないかと。