S=Fリプレイ フォーチューンの海砦・下

セブン=フォートレス リプレイ フォーチューンの海砦・下巻

そして先日の続きという形で。下巻も著者・菊池たけし先生。ちなみに挿絵は四季童子先生、佐々木あかね先生です。
上巻ではパーティーを組んで普通のファンタジーTRPGとも言えるお約束の遺跡探検やら盗賊もどきと戦ったりとしていて王道だと思ったら、この下巻では一気に世界滅亡の危機に立ち向かう事になったりしていて中々めまぐるしい展開です。
新パーティーである第2パーティーを組み、第1パーティーの頃に知り合った人から呼ばれてとある南海の孤島に向かうことにしたライムたち。その際に舟を出す条件として提示された、ある島を襲った不可解な状況の詳細を把握するというミッションも解決し、何とか目的地であった南の島に到着するところから入ります。
主人公格とも言えるPC1やPC2掃討としてシナリオに立ち向かうは召喚士ライム=ケーベルと神官のナティノ=マゴメノジョ=ナザン。この2人に、新キャラクターとしてス○リート○○イターで見たような姿と履歴のキャラクター・ベガオが合流しナティノの息子と娘が明確なプレイヤーのいないお助けキャラ的な立ち位置でパーティーに協力するという変則パーティーで進むシナリオ。南海の孤島群に突然発生しだした白い霧の正体は。南海の孤島群を中心に大発生し、人を襲い食らう怪しい昆虫<水晶蟲>が島を覆う時、海の底から忘れられていた50年前の脅威が目を覚ます…!果たしてライムたちは、この脅威から島を、いや、世界を救えるか…!? といったところでしょうか。
シナリオは菊地たけし先生の御家芸、『世界滅亡の危機』ですので盛り上がりはかなりのものです。超強力な敵を相手に、プレイヤーパーティーはいかにして超強力な敵を相手にせずに危機を脱するか。その手際とシナリオ展開はなかなか見応えがありますね。反面、時間に関係し前作の登場人物が結構出ているシナリオ展開だったりして、前作「アルセイルの氷砦」を読んでいないとイマイチわかり辛い展開だったのは難点ではないでしょうか。
ネタバレになりますので反転文字で書きますが、無限に増殖&強化されていく<水晶蟲>と精霊獣を前にして、時間を遡行する事で知識や力を蓄える前の精霊獣を倒し、それにより現在の時間の精霊獣たちの存在を無かった事にしてしまおう、という時間逆行問題解決というのがこのシナリオ。それだけに深く考えるとややこしいことになるわけですが、そこはそれ、勢いで片付けてしまっています。その辺りは詳しくすべて解決できるように説明したりしていると本書の分厚さが多分とんでもないことになるのでまぁ仕方が無いかな、と。読者側で補完するしかないですかね。
総評して、「タイムパラドックスファンタジー」でしょうか。
巨大な敵を相手にしてのプレイヤーたちなりの攻略。これはこれで有りなのでしょうが、当時からして見ればなかなか力技というか、読み手に読解力をかなり求める挑戦的なシナリオだなぁ、と思いました。でもそれでも、きくたけ節のノリと、読者投稿を取り入れての魔法作り、テストシステムを導入してのプレイなど、相当な意欲作ですね。
『砦シリーズ』を読んでいる人には買って損はない作品。そう思いましたねー。