タロットの御主人様

タロットの御主人様。 (電撃文庫)

タロットの御主人様。 (電撃文庫)

タロットの御主人様

「座敷童にできるコト」シリーズを手がけた七飯広隆先生による新シリーズ前提?作品。人気出なかったら読みきり的かな?
基本は占いとかタロットとかをベースにしたバトル物。力を持つタロット「クロウ・クルアッハの聖隷のタロット」が、タロットの示す相の性質を持つ能力をそれぞれが選んだ人間に憑依して使えるようにして、そこからさらに憑依した人を操って悪さをするのを、主人公である四阿秋人(あずまや あきと)と幼馴染などの美少女たちが戦い、勝利した後にタロットを封印する事で収めていく話です。
憑依された人間はタロットに意識を奪われて操られるまま。それを解放しタロットを封印する方法は、秋人が憑依された人間に対して接吻―――キスをすること。タロットを封印すれば憑依者の意識は回復し、さらにタロットの性質の力を秋人の協力の元、使えるようになる。秋人の協力とはタロットが憑依した証の痣―――タロットが体内に入るのに触れた所に痣が浮かぶ―――に、やはりキスすることが発動条件、と
ここまででもわかることですが、設定としてはタロットが示す能力と秋人とのバトルものですが、登場人物が美少女で戦闘の勝利条件が”相手とのキス”。手に入れた力の行使に必要なのも”相手の痣のある場所へのキス”。もうどこの美少女ゲームかバトル系ラブコメ漫画か、と思いますね(笑
話として今回は、最初の聖隷となる幼馴染の美少女、古城結夏(ふるき ゆいか)に憑依する「隠者」と契約することと、設定やらの説明。それから2番目の敵、八久住香澄(やくすみ かすみ)に憑依する「節制」との契約。以上の3つが主に書かれていた内容ですかね。
大アルカナの示す属性が戦力としてどう示されるのかとか、憑依されているのが誰かとか、楽しみ方はかなり多くあるのではないかと思います。また時間も切ってあって一年で全てが片が着くようにしてあるみたいで。
プロローグで最後のシーンが挿入される形式であり、最後の最後、タロット全てを秋人が配下にして全ての糸を操っていた存在と対峙する所から話は始まっているのです。その辺りでラストはこうしようと考えている、というのが見えますので、話をずるずる続けていつまでたっても話が終わらない、ということが無さそうなので買う方としては未完になったりしないで済みそうで安心です。とはいえ、人気が出なかったら2巻が出せないというのは周知の事実で。あとがきでも先生御本人が「2巻分ないし3巻分の書き溜めはありますが出せるかどうかはわかりません!」と書いてある辺り、読みきりで終わるのか続刊物になるのかはこれから、といった感じですね。(笑
総評して、設定もさることながらイラストも美少女系ということで、本当に美少女ゲームのようなノリで話は進んでいきます。いわゆる主人公君に都合の良い展開、というやつですね。ですので、その辺りを受け入れられるかどうかで評価は分かれるのではないかと。ドンドン登場して増える美少女。主人公の家に押しかけてきたり主人公に好意を持って迫ってきたり…といった感じが、どれだけ許容できるか。非現実をどれだけ楽しめるか。
それが、この作品の評価の分かれ目ではないかと。