神曲奏界ポリフォニカ・プレイヤーブラック

新曲奏界ポリフォニカ プレイヤー・ブラック

シェアード・ワールドポリフォニカシリーズの通称「黒ポリ」こと、ブラック・シリーズの第3作目。
精霊警官のマナガとマティアのコンビが綴る、毎回ひとつの事件を追うシリーズものです。
が、今巻は事件…とは少し違う感じです。困った事態は起きますが、それは登場人物たちのそれぞれがそれぞれに対して何かしらを思った為の結果と言うか…
突然一週間の休暇を貰える事になったマナガとマティアは、思いつきでスキーに行くことにします。だが、そこはシーズンの真最中。飛び入りでは宿を取る事は出来ず、仕方なく帰ろうとしていたところで別荘に遊びにやってきていた大学生グループの一団に空き部屋を使わせてもらえる事になります。せっかくなので好意に甘える事にして母親が神曲楽士という大学生グループのひとりの別荘に泊まる事になったマナガとマティアだったが、それが擦れ違いと心に溜め込んだ不満、そして偶然が生み出した悲しくも恐ろしい一夜の始まりだった… と、いったところですか。
総評して、今巻は人の心の裏側を書きながらも、「それを越えられる信頼」が読んでいて感じましたね。危機に際して、追い詰められた彼らが各人以外の仲間を思って最後には行動すると言う、自己献身、自己犠牲を発露させたり。
また、マティアとマナガもこれまでとは違った一面が書かれていたり。
マティアは対人面において人見知りと言うか、それだけではない対人恐怖症的な一面がありますがそれを乗り越えようと自分から大学生グループに話し掛けたり答えたりする描写が。マナガはこれまで精霊警官として、また、マティアの契約精霊として荒事担当として強靭かつ強大な印象が強かったですが、今巻ではある理由で精神構造体的に弱ってしまいあらゆる状況で苦戦する姿が、それぞれに印象的でしたねー。