ぷいぷい!4

ぷいぷい4! (MF文庫J な 01-20)

ぷいぷい4! (MF文庫J な 01-20)

ぷいぷい!4

MF文庫Jでの夏緑先生の作品です。MF文庫シリーズでは他に『風水学園―逢魔が時の黒猫 (MF文庫J)』のシリーズなどがありますね。
超お嬢様の美少女「座堂シエラ」は、学園の人気者で成績も優秀、何をしてもそつなく完璧にこなすことで誰からも好かれる理想の『お嬢様』。だが、その真実は猫を被ったワガママお嬢様。心中ではクラスメートを庶民と呼んだりそれとなく見下していたり。そんなシエラはある日、父親から父が『ランプの魔神』でありその力でお金を出して潤沢な生活をしていたことを教えられ、そして召喚ランプを持つ者が代わってしまい自分の魔神としての力が無くなってお金を出したりも出来なくなってしまったことを知る。さらには、父から自分に『ランプの魔神』が代替わりをしていて、シエラが召喚ランプを持つ主人の言う事を聞き魔神レベルを上げないとやがてはお金が無くなり一家離散の危機である事を告げられる。そんな現実に嘆くシエラを呼び出したのは…と、基本設定がこんな感じで。
シエラを呼び出したのは楔形文字を読むことさえできる考古学マニア高校生、新木陣。
この陣と、シエラ、さらにシエラと陣共通の敵として書かれる『妖魔<アークダイモン>』と、それを主食としているアルフ、他にも陣たちのクラスメートや他学年の生徒などを登場人物に、シエラと陣のはちゃめちゃハートフル魔神とご主人様ライフを書いているのがこの作品ですね。
今巻では、中編2作を掲載しての1冊と言う感じで。
陣を連れ、湖畔のペンションに勉強に来たシエラ。だがそのペンションのオーナー一家は妻が行方不明となっており、さらには湖畔そのものにも怪しく謎な事態がおきていて…という『湖の少年』が一編。
もう一編は、バンドをやっている陣の寮での同室、夕也が勝手にシエラがボーカルをしているとして応募したコンクールでまさかの一次予選を通過してしまい、慌てた夕也に請われてしかたなくバントに参加することになった陣とシエラ。軽音楽部からも毒呂説子が夕也と一緒に参加することになり、急増4人バンドが結成されるが、果たしてコンクールの行方は…?の、「われらスチャラカバンド」の、計2本で1冊です。
着実に魔法の力を得ていたシエラが魔法書を失い、0から再スタートとなったり、シエラが陣を、陣がシエラをとそれぞれ魔神と御主人様の関係が薄れた事で見えてきた相手そのものに戸惑いを覚えたりと、ちょっとした転換期的な視点で書かれていましたね。
総評して、今巻ではシエラと陣との関係をメインに据えながら、今まであまりクローズアップされていなかった周りの関係なんかに変化が起きていたりする巻だったと思えました。また、魔法で全て解決するのではなく、そこから発展系のように工夫して魔法を使っていたりするのも面白かったですね。