神曲奏界ポリフォニカ まぁぶる

神曲奏界ポリフォニカまぁぶる

神曲奏界ポリフォニカ』シリーズの、シェアードワールド全部から1篇ずつだけ短編を挿入したお祭文庫…とでも言いますか。全シリーズを読んでいる人が一番楽しめる物になっている作品、ですね。
収録作は、現在まだメインシリーズが刊行されていない青ポリのメインキャラたちが起こすちょっとしたばたばたが書かれた『だいぐれっしょん・ぶるう』と、黒ポリの面子による、本シリーズでのしんみりとした印象とは別の日常風景が書かれた『ぶれっしんぐ・ぶらっく』。そして白ポリからは新年を迎えるにあたってのダンス・パーティまでの間にスノウたち白ポリの面々がそれぞれ用意に四苦八苦する姿を書いた、『ダンシング・ホワイト・ナイト』。最後にトリを務めるのは、今一番人気があるんじゃないですかね?赤ポリの面子による、神曲使いによる大演奏会へのフォロンの出演依頼を発端に、コーティカルテとフォロンの関係を見直すことになる『ポゼッシブ・クリムゾン』。
どれも短編ながらポリフォニカ世界を特徴的によく描いていて、これだけでポリフォニカ世界の基本事項はわかるんじゃないですかね。
総評して、『青』では神曲楽士と精霊との信頼関係が。『黒』では精霊の社会的存在意義が。『白』では神曲楽士と精霊との違いの有無。『赤』では精霊から神曲楽士への依存と期待とが。そして全てに通じて、精霊と神曲楽士との間の『種族の壁』が、それぞれに感じられました。
人と精霊と。そんな二つの種族の歩み寄りと、全シリーズにある各登場人物たちの不器用な優しさ。そういったものを、楽しんでください。