メグとセロン?

メグとセロン? ラリー・ヘップバーンの罠

著者・時雨沢恵一先生。挿絵・黒星紅白先生。時雨沢恵一先生は特徴的なあとがきで有名な先生ですね。著作にはアニメ化もされた「アリソン」「リリアとトレイズ」シリーズなどがあります。この作品も前述の2シリーズと世界観を同じくする作品ですね。挿絵の黒星紅白先生はゲーム「サモンナイト」シリーズのキャラクターデザインなどで有名ですね。
・シナリオ
えっ!? 金髪熱血漢のラリーにラブレター? 思わぬ展開に新聞部一同騒然。
 女子人気大、実は奥手のセロン。
 正義感あふれる天然系メグ。
 熱血漢金髪のラリー。
 長身メガネサバサバ女子ナタリア。
 美形長髪ちょっと皮肉屋ニック。
 情報力抜群、新聞部部長ジェニー。
 超お金持ちの子息・美男美女が集まり、学園内でも話題の中心である新聞部メンバー6人。学園地下の不審人物騒動や、探し物の依頼、新聞部合宿中の殺人事件などなど、なぜか必ず騒動に巻き込まれてばかりのメンバー──。今回はなんと!あのラリーにラブレターが!? これはまたひと騒動の予感……。恋あり、友情あり、ミステリーあり、のドキドキハラハラワクワクドタバタ学園物語、第5巻!(電撃文庫HP、商品紹介ページから抜粋。)
・感想
今回の話は新学期に入ってからのこと。前巻で夏休みに合宿をした新聞部の面々が事件に巻き込まれ、それらがひと段落して夏休みも終わり―――というところから。
以前の巻と同様に近況などを簡潔に、それでいて要点をおいて分かりやすい文体で説明された後でそれからのそれぞれの暮らし的なものが語られます。そうしているうちに新学期での新しいちょっとした事件が起きて、新聞部の面々みんながそれぞれ少しづつ関わっていく、という内容になっています。
サブタイトル通りに今回の主役は主役であるセロンの親友で体育会系な性格の騎士の家柄少年、ラリー・ヘップバーン。彼が後輩の少女、ステラに告白を受けたことから端を発する時雨沢恵一版・ロミオとジュリエットが今回の話です。
時雨沢先生流のスマートな文体による話で読みやすいです。今回の特筆する見所はやはりラリーの男っぷりでしょうか。自分が道化になることを厭わずにステラのために行動するその様子は「愛にならない恋にそれでも殉じる男」、って感じでした。ラリー…良い男過ぎる。特に最後のラリーがステラに仕掛けた罠は、みずから自分の恋に終止符を打つことにもなるだろうに、それでも決行するとか格好良過ぎです。これでモテない男って、ラリーの周りは男を見る目が無い女ばかりか!って気持ちになりますよ…。
総じると、今回の話は学園の中で起きそうになった悲恋を、セロンたち新聞部の面々―――特にラリーが頑張って回避する話。ラリーの男ぶりに燃えます!