仮面ライダーディケイド&W MOVIE大戦2010

注意!この感想は激しくネタバレです。閲覧するときは自己責任でお願いします…<(_ _)>
TV版で最終回が衝撃の問題展開『続く!』で終わったディケイドのようやくの最終回@完結編と、現在放映中の仮面ライダーWのEpisode0―――前日譚である「ビギンズ・ナイト」の2本立てで贈られる劇場版です。
まずはディケイド完結編。まずは全体を通して見ての感想は「あれ?」というもの。
というのも、TV版で放送された劇場版の予告映像がほぼ何処にも使われていない、という衝撃の事実に気がつくからです。海で士君と相対する士君というのがあったり、ディケイドに殴り倒されたり波打ち際で倒れたりしてる士君とか、瀕死で「士…死ぬな…」とつぶやく海東さんとか、銃を構えながら「私がディケイドを倒す!」という夏海とか、ユウスケが他のライダーをネックハンギングで吊り上げながら「世界は俺がもらう…!」と言ってたのとか、色々予告であった映像は完全に『無かったこと』にされてます。おいおい…(・ω・;
さてそんな劇場版の内容は、TV版の最終回から既にいくらか時間が過ぎた状態からスタートしてました。散り散りになっていた士君たちがそれぞれ行動していて、士君は『世界の破壊者』としてライダーたちを倒し続けるたびをしていて、ディケイドの面相が目の部分が尖っていたりと悪役っぽくなっています。ユウスケはそんな士君を止めるためにやはり単独で動いていて、夏海と栄次郎は取り残されている形。海東さんはやはり個人で動いていて、神出鬼没に士君の前に現れたり夏見の所に出現したりしていました。
TV版最終回、ディケイド以外の平成ライダーズに囲まれ乱戦状態にディエンド=海東が乱入してきてディケイドにディエンドライバーを突き付け、引き金を引く音と共に夏海の「ディケイドー!」という叫び声で続くとなっていたストーリー。劇場版はそこからどうなったか、ということはまったく語られずに、いきなり士君がスカイライダー、スーパー1、カブトと戦いを繰り広げているところから始まります。ちなみに昭和ライダーの活躍はこの前半部分のみ。後半では昭和ライダーはほぼ出てきません。
冒頭は、いきなりのCG全開でスカイライダーの空中飛行の様子が描写され、それをファイナルアタックライドで狙い撃つディケイド。さらに流れるようにクロックアップ状態でスーパー1に襲い掛かり、同じくクロックアップで対抗したカブトごと撃破して―――という感じでいきなりバトルから始まります。ところでスルーされてましたが、ディケイドの姿のままでクロックアップしていたんですが、アタックライドのカードは、その能力を所持していた仮面ライダーにカメンライドしなくても使えるんでしたっけ…?今回で言えばカブトにカメンライドせずに、クロックアップのアタックライドって使えるんでしたっけ?
その後、ユウスケと袂を分かっていた状態であったことが明かされ、そのままユウスケが連れてきたライオトルーパー部隊を含めてクウガ=ユウスケと戦うディケイド。さらに増援としてジャンボライダー状態の仮面ライダーJも登場してと、前半は特にバトルシーン多めで語られます。
その前半終了は夏海がキバーラの力を借りて「仮面ライダーキバーラ」となり、一度ディケイドを倒すまで。この辺りは士君はもともと倒されるつもりだった、的な演出になっていてある意味予定調和です。
前半終了から後半開始にかけて、大ショッカーが再編された、という形で登場するのはスーパー死神博士@栄次郎、蜂女、ゾル大佐@鳴滝で構成された幹部が率いる「スーパーショッカー」という新組織。でもかなりいらない設定だった気も。(ぉ ゾル大佐@鳴滝が前回の劇場版で出し損ねたから出てきただけか?と思いましたね。
昭和ライダー繋がりということで電波人間タックルも出ていましたが、こちらも正直残念な扱い。キャラクターが今風のギャル的な性格でキャピキャピ系。演技はまだしも戦闘…殺陣が少々…あれな感じでした。そもそもタックルの説明がまるで無いのでわかる人にしかわからない設定になってしまっていたというか。電波投げとかウルトラサイクロンとか、もう少し見せ方があったんじゃないかなぁ、と。特にウルトラサイクロンは、タックル最後の見せ場だったのにあまりにもあっさり…村枝健一先生の演出を見て勉強してください、な気分でした。岬ユリ子なのにストロンガーとは絡みませんし…。三崎ユリコです、とか美咲優梨子です、とか言われたほうがまだ良かった…なまじっか岬ユリ子とパンフレットに書かれていただけに残念度が倍増です…。
後半は夏海、海東さん、ユウスケが士君復活のために士君が写った写真を入手しようとするもの。唯一、士君を取った写真が収まったカメラをめぐって、スーパーショッカーが来襲するのを掻い潜りながら海東さんや夏海がガンバル的な展開。しかしこの写真を巡る話はかなり無理がないか?と思わざるを得ない展開です。スーパーショッカーから守り通したカメラの中の写真はしかし感光していた。士君の写真が手に入らない―――しかしその感光した写真を手に、夏海、海東さん、ユウスケが念じると…『その時、不思議なことが起こった!(ぁ』状態が発動。写真に士君の姿が写りだした…ってそれは完全に念写ではないですか、と。(苦笑
ラストはスーパーショッカーの怪人軍団VS平成ライダーズの乱闘という展開。ところで怪人軍団の中にヒルカメレオンとかが普通にいるんですが。(笑 スーパーショッカーは最後の戦いの前の前菜状態。幹部級でも怪人には変身せず(死神博士イカデビルにならないし、ゾル大佐もオオカミ男になりません。)、あくまで怪人たちだけが平成ライダーズと乱闘をして物語の盛り上げ役をしていました。ちなみにゾル大佐@鳴滝はここが最後の出番。お決まりの台詞「おのれディケイドー!」と叫んだ後、画面からフェードアウトしてそれっきりです。結局鳴滝はなんだったのか、最後までわかりませんでした…(苦笑。
乱戦後、スーパーショッカーが培養していたネオ生命体が活動を開始して、ディケイドたちに襲い掛かります。ここでヒーローにあるまじき前代未聞の出来事が起きます。ネオ生命体は仮面ライダーZOの敵役、ドラスを生み出してディケイドたちに襲い掛からせるんですが、ディケイドたちはスーパーショッカーの怪人軍団を倒した勢いのまま、平成ライダー全員揃い踏み+ディエンド&キバーラの12人のまま対抗。ドラス1人に対して12人のライダーで私刑にかけます。(ぁ ドラスは孤軍奮闘しますが多勢に無勢。最後は全平成ライダーがパワーアップ状態(クウガライジングアルティメットフォームになったり、アギトがシャイニングフォームになったり)となり、ディケイドを含む10人平成ライダーズ+ディエンド&キバーラの12人で連続必殺技を叩き込み情け容赦無くトドメを刺します。もうやめて!ドラスのHPはとっくに0よ!状態でした。(笑 ともあれ。そうしてドラスを倒したディケイドたちだったが、ネオ生命体は次はマンモスメカを繰り出し更なる攻撃を仕掛けてきた―――で、またも衝撃の展開。そう、『続く!』(爆 です。映画の中で続く!とか驚きの超展開でした…!(笑


そしてディケイドが終わると次はWの番で。「ビギンズ・ナイト」です。
ディケイドが盛り上がりクライマックス直前で「続く!」となった状態で、いきなりテンションが普通状態のストーリーが始まります。「え?ディケイドの結末は!?」とか思いますが気持ちを切り替えてWの物語をとりあえず楽しみましょう。クリスマスイブ、鳴海探偵所に売れっ子歌手から「死んだはずの姉を探して欲しい」という不可解な依頼が持ち込まれることから始まります。物語の内容は、そんな現実の事件を捜査しながら過去のおやっさんとの思い出やフィリップとの出会いを翔太郎が振り返り独白する、という感じ。
事件の捜査で訪れた先で死者復活の噂に触れ、その直後にビギンズ・ナイトと呼ばれる事件―――フィリップとの出会いであり鳴海壮吉との死別に関する事件―――で死んだはずで死体も見つかっていない鳴海壮吉に襲われたことで、過去、自分の失敗からおやっさんを死なせてしまった翔太郎がそれを悔いてテンションが下がるのを、フィリップが友情&相棒パワーで復活させて事件は解決へと向かっていく。この映画はそんな物語です。
何はともあれ鳴海壮吉がカッコいい!こりゃ翔太郎も漢惚れしてハードボイルドに傾倒するわ!というレベル。被っていた帽子を投げて帽子掛けに引っ掛けたり、帽子を被る理由が「男の目元の鋭さと優しさを隠すのが、コイツの役目だ」だったり。生身でのアクションシーンもありますが、戦闘員相当の黒服軍団を相手にひとりで大活躍!生身アクションのラストである飛び掛ってきた敵を蹴倒して、そのまま勢いを殺さずに帽子を押さえつつグルグル回転した後で両足でスタッ!と立つところなんて身悶えする格好良さです。わ、私も「おやっさん!」て呼びたい…!!スカルに変身しなくても十分以上に強いです。なのに「仕事にガイアメモリを使わない信条」を持っていて生身にこだわり、でも依頼人の願いのため、依頼達成のためならあっさりと信条を曲げてスカルのガイアメモリを使うとか…仕事に関しては自分の信念も殺すそのクールなスタンス!どれだけハードボイルドなのか!いかん、痘痕も笑窪に見えている気がするのに気にならない…!(笑 欲を言えば仮面ライダースカルの武器がトリガーマグナムの流用だったのが残念ですか。金型が同じらしく見た目一緒の色違い。せめてここもこだわってリボルバー型とか、専用装備っぽかったら良かったのに…!
翔太郎とフィリップは出会いに関してはTV版でちらちら見えていた部分がほぼ大半。鳴海壮吉と翔太郎がフィリップ救出に園崎家の会社の施設に侵入→翔太郎の失敗でフィリップ救出に一度失敗する→その場でリカバリーをするべく壮吉と翔太郎は施設の重要区画へ→今度はフィリップ救出に成功するも、壮吉が黒服の凶弾に倒れる→翔太郎とフィリップだけで逃亡しようとする→追い詰められて已む無くWに初変身…というもの。TV版で見せられた分の補足説明、て感じでした。
過去編で追記しておくことといえば、「ダブルドライバーは鳴海壮吉が最初から持ち込んでいた」ってことと、「ファングのガイアメモリがあって、それを使って変身すると意識を失う相棒が逆になる」くらいでしょうか。ダブルドライバーはてっきりフィリップの発明かと思っていたんですが、誰か別人が作ったもののようですねー。これが2番目の仮面ライダー登場の理由とか伏線とかになるんでしょうね…。ファングのガイアメモリに関しては意外と便利そう。AI機能付き変形型で自走可能みたいだから、ゴキスター戦みたいに無くしても自分で戻ってきそうですし(実際ビギンズ・ナイトで無くした後、自分で戻ってきて第16話辺りで再登場する様子)。二箇所同時に事件とか起きても、翔太郎とフィリップが別々の現場に行って一方の現地で翔太郎が事件を解決した直後、一旦変身を解いて別の現場でフィリップがファングで変身したら、二箇所の場所にほぼタイムラグ無しでWが登場できる、ってことですよねー。この手を使って一見解決不可能そうな事件を力技で解決とかしそうだ…。まぁその為にはフィリップが園咲家からの追及を避けきれる環境がいるんでしょうが。
ともあれ、死者復活の事件を捜査するうちに怪しい神父を見つけて追跡していたところ、やはりそいつが黒幕!Wに変身して怪人と戦っていると園咲家の面々も登場して、乱戦に。その最中で神父が変身したドーパントが逃げようとするのでWはハードボイルダーで追いかけるが…というところで………W劇場版も『続く!』(笑 まさかの連続『続く!』END!!
劇場で「ええ―――(゜ロ゜;)―――!?」って顔になってました…。(笑


そしてクライマックスへ…
Wまで衝撃的な終わりを見せ、驚きも醒めやらぬ間に何故か画面は二分割。
そして波がざばーん!となる映像とともに「東映」と出るタイトルが画面の右と左の両方で表示され、「?」と思っているとダブルとディケイドの続きが画面分割で同時にスタート!
ぽかーんとしている間に両者少しづつ物語が進んでいき…おや、これは………同じ舞台?ディケイドがいる所にダブルが登場し、ダブルの背景にディケイドの敵が映っている…?という流れで、ディケイドの完結編とダブルのビギンズ・ナイトがリンクしてディケイドが「通りすがりの」ダブルが「ふたりでひとりの」と言った後、声をそろえて『仮面ライダーだ!!』と宣言してようやく「MOVIE大戦2010」のタイトルが。そう、これまでのディケイド完結編と、ダブルのビギンズ・ナイト。この2話は1時間以上にもなる長い長いアバンだったのです!(ぇー 前代未聞の超ロングアバンに、正直本当に、「MOVIE大戦2010」のタイトルが出てきた瞬間「ここまでプロローグだったのかよ!」とツッコミを入れずにはいられませんでした…!(笑
さてそんな超長かったアバンでようやく始まった「MOVIE大戦2010」。内容は、というとスーパークライシス要塞やマンモスメカ、最強の敵、アルティメットDと戦うだけのアクションメインの話。見所はディケイドがファイナルアタックライドでWを変化させるところでしょうか。ガイアメモリが増えて(! フィリップ個人のWであるサイクロン/サイクロンと翔太郎個人のWのジョーカー/ジョーカーという、2人のWが出現します。そしてディケイドと2人のWの3人でのライダーキック。単純ですが普通見られないディケイドが入るから出る形でのキックだけに、テンションもあがります。

総じてこの作品。奇抜な演出で盛り上がりはありましたが、ディケイドでは昭和ライダーの活躍が少なかったり唐突だったり平成ライダーはやたらと見せ場があったりで、平成ライダーから仮面ライダーを好きになった人向けな印象でした。WはTV版での語られていない部分の補足的な意味合いが強くて、TV見ていないと意味がわからないところもあるだろう、ということで夏の映画「オールライダーVS大ショッカー」に比べると見易さという点では難物かと思います。でも逆に、TV版を追いかけて見ている人にとっては演出が受け入れられたらとても面白い作品になるだろうな、と思いましたね。
一応これでディケイドの話は終わりだそうですが、ディケイド勢は世界の移動でどんなライダーの話にも(ライダー以外の話でも)登場できそうですし、再登場を期待してしまいますねー。TV版最終回で流れた映像に準拠した劇場版とか出ませんかね…(笑