第11話 「復讐のV/感染車」

Vを冠する物語の前半。事件が起きて翔太郎たちがそれに関わるところを書くスタート・ストーリーです。
今回の話は轢き逃げ事件。突然の助けを請う連絡を受け、翔太郎はいぶかしみながらも呼び出された先へ赴く。そこに待っていたのは1人の若いギャングの男だった。翔太郎に助けを請う男は、しかし翔太郎の目の前で謎の黒い車に襲われて倒れる。その後、警察の取調べなどを受けた翔太郎は謎の黒い車が気がかりになり、亜樹子に反対されながらも依頼者無しで調査を開始する。そしてウォッチャマンなどに情報収集をして調査するうちに、翔太郎は「黒須」という男が怪しいことを突き止めた。しかし黒須たちの一味は次々と謎の黒い車に襲われていて、一人、また一人と命を失っていく。そんな中で、情報収集に奔走する翔太郎はやがて黒須たちが雨の日に1人の女性を轢いて逃げたこと、それを許せないと憤る弟、山村康平や女性の婚約者、湯島などがいることに到達する。果たして今回の犯人であるドーパントは誰だ―――?という感じで。
今回は翔太郎がメインに動き回る回。復讐のために動く山村康平に、自分も大事な人(鳴海おやっさん)を亡くした経験がある翔太郎が共感しながらも、復讐を止めるために対峙することを決意するくだりは良かったです。
フィリップも「街のためにならない行為をする黒須を救う必要ってあるの?」という何処までも合理的な思考がフィリップらしくて、共感してしまいました。黒須の外道ぶりはドラマということで悪を誇張し過ぎている感じがありましたが、それだけにフィリップの発言に「だよなぁ」と共感、というか。でも翔太郎が康平を止めようとする理由を聞いてすぐに納得して翔太郎に協力するのは、今回のフィリップは翔太郎の内心の葛藤を感じ取って翔太郎のわがままを受け入れた、みたいな感じに見えて流石分かり合ってる相棒だな、と思います。
今回の敵に関しては「ナイトライダー」っぽいのが目に付きました。FMでガンガンBGMを鳴らす中で襲撃してきたり、スモークガラスで中が見えない状態でライトがギンギラに点いてたり、立体駐車場の高層から飛び出して地面に着地とかトンでも走行を見せたりで。
ドーパントの正体も少し捻ってありましたね。前回同様登場人物の誰かがドーパントなんだろうけど、さてそれは誰なのか?ということにしてあって推理する楽しみがあります。透過して通り抜けた相手をウイルスに感染させ、死に至らしめるバイラスドーパントは誰なのか?。山村康平は明らかにミスリードっぽかったですけど。個人的にはやはり婚約者かな?と思いますが意識不明の姉も怪しいかも、とも思います。どっちかだよなー、と思いつつ。どっちが正解なのか、推理するのは楽しいですね。
亜樹子は今回は風邪引きという状態で登場しましたが、翔太郎に向けて思い切りくしゃみをしたりウォッチャマンの携帯に向けてつばを飛ばしたりして、文字通りの汚れ役というにも酷い扱いでした。今回のはちょっと…常識が無いというか、はっちゃけ元気娘、ということでは納得できないです。汚いなぁ…と、そこばかりが気になって仕方なかったです。
今回ゲストの1人、黒須。これは最悪の外道で鬼畜、というスタンスで登場しましたが過剰な演出もあってかなり嫌な男でしたね。やたら強気で人を蹴りつけたり怒鳴りつけたり好き放題して、轢き逃げしても悪びれず、銃器まで日常的に振り回して恫喝などお手の物。そのくせにバイラスドーパントに襲われて酷い目にあったら「俺は悪くない!」発言。悪者キャラクターとしては小物の癖に威張り倒す、というあまりお近づきになりたくないタイプです。でもこれだけ嫌なキャラなのはそれだけ役者さんによる演技が見事だった、ということでしょうね。星獣戦隊ギンガマンのギンガグリーンだったそうですが…正義役も悪役も見事にこなす、ということで役者としての力を見せたということになるんでしょうね。
バトルに関しては色々メモリの特性を生かした戦いが見られました。メタルメモリで防御特化状態で、突進してくる車を自分の体を置石代わりにして乗り上げさせたり、ヒートメモリで発火状態で触れると感染するウィルスに熱で対抗してみたり。
またナスカドーパントこと霧彦さんも、前哨戦では今回はWをあしらう頭脳プレイを見せていてこれまでの情けなさの面目躍如、という感じです。Wがサイクロン/ジョーカーでのマキシマムドライブ・ジョーカーエクストリームを使おうとした所で、自分の飾り布を自在に操ってWが身体を分けて必殺技体勢に入ろうとしたところを妨害して必殺技使用を阻止とか。何度か負けたりWの戦いを見ていたからこそ対策が取れたナスカさんの経験勝ち、って感じでした。
次回は第12話「復讐のV/怨念獣」。バイラスドーパントは誰なのか?ガイアメモリはいったいどんな突然変異を起こしたのか?それを霧彦さんはどんな形で自分の功績にしようとしているのか?色々な謎や疑問が残っているままなのでそれらが一気に開示されるカタルシスに期待です。