勇者30

勇者30 超速短編集 (みのり文庫)

勇者30 超速短編集 (みのり文庫)

勇者30 超速短編集

著者・細江ひろみ先生、御門智先生、恵村まお先生、わたび和泉先生、澤村ゆり先生、海法紀光先生、伊豆平成先生、遠谷奏先生、相馬崇先生、志村那由多先生、八木れんたろー先生、水野隆志先生、秋月ひろ先生、村田治先生、やまだ有見先生、田中桂先生、むらさきゆきや先生、春原ロビンソン先生、坂東真紅郎先生、森永鷲葉先生、藤浪智之先生。(順不同)
挿絵・藤ちょこ先生、だんごむし先生、久方綜司先生、タ・カーナ先生、あべれーじ先生、サブロク先生、白凪マサ先生、しまどりる先生。(順不同)
・シナリオ
勇者を向かい入れろ
30秒で村をガイドしろ!
30秒でおめぐみをもらえ!
30秒で勇者に会え!
30秒で薬を届けろ!
30秒で世界一の魔女になれ!
30秒で町をガイドしろ!
敵に囲まれた!30秒でピンチを脱しろ!
山の主を捕れ!
30秒で、爆発を盗め!〔ほか〕(7&YHP商品紹介ページより抜粋。)
・感想
著者一覧、挿絵一覧を書くだけで一仕事終えた気分でした。
内容は、基本2ページで1話という形式の文字通りの「超短編集」です。職業を1つお題としてあげ、それに関して著者一覧のどれかの先生が小話的な作品を1つ出す…基本はそういった流れです。
お題になっている職業というのも、基本的にはPSPソフト「勇者30」に出てきたキャラクターがモチーフにはなっています。その限りではない…とは思いますが。なにぶんにも扱われているキャラクターが多いため、断言しかねます。
そして内容はというと、これは、ゲーム版をプレイしていないと単なる職業小話短編集となってしまうと思います。勇者30の基本設定となる『30秒で〜をする』という超スピード展開に、読み手のリズムで自由に時間をかけて読める小説という媒体ではついていけないからです。ゲームならば「30秒経過→ゲームオーバー」などできるのである種の強制があり、それを回避する楽しみ、というのがありました。が、小説ではそういった強制力が無いため「特定条件下になると先が楽しめない」という縛りがなくなるからです。そうなるとこの「勇者30 超速短編集」は文字通りの短編集と化してしまい、そういった意味でもゲーム版の「勇者30」をプレイしていない人には、何が面白いのか、ということになってしまうでしょう。
ただ、まったく面白くない作品だった、ということも無かったです。
「職業名+30」というタイトルから「30秒」という縛りを相手に色々な作家先生方が様々な登場キャラたちに与え、それらをどう扱うか、という点で短編の中に上手く織り込んでいて、読み応えのある作品もありました。残念ながらすべてがそうという訳ではなく、「職業名+30」としながらも30の部分がまったく話に絡んでこず、「この短編は勇者30の短編なのか、それともただの職業短編なのか?」と疑問に思ってしまう作品もありましたが。
総じてこの作品はまずゲームをやってからでないと、楽しむことは出来ないと思います。ゲームのノリ…30秒以内に魔王を倒す、30秒以内に帰城する、30秒の間、敵を殲滅、30秒間賢者を守る…といった、『縛り』の面白さを理解したうえでないと、この作品は魅力が半減どころかそれ以下なのではないでしょうか。もう少しゲーム未プレイでも楽しめる要素があったら、と思いました。