R−15

R−15 ようこそ天才学園へ!

著者・伏見ひろゆき先生。挿絵・藤真拓哉先生。本作品は第13回スニーカー大賞で奨励賞を受賞した伏見ひろゆき先生のデビュー作品、というヤツです。挿絵の藤真先生はファミ通文庫レーベル「世界の危機はめくるめく!」シリーズで挿絵を、コミックでは「魔法先生ネギま!neo」などを描かれている先生ですね。
・登場人物
主人公は15歳にして天才ポルノ作家として既にデビューもしている芥川丈途。ヒロインはクラリネット演奏の天才だが人前では演奏できない精神的問題を抱える鳴唐吹音。
サブキャラクターは、数学の天才児で丈途と友人になる円修律。コンピューター操作の天才で若干レズビアンが入っていて最初は丈途を女子寮覗き犯として糾弾する霧線蘭。他人の最も醜い瞬間を撮影する天才の名機来夏。などなど数多くの天才たちが登場します。
・シナリオ
芥川丈途は15歳にして、新聞に連載を持つ天才エロ作家なのです!そんな彼が天才(…というより一芸)ばかりが集まる閃学園に入学した途端、女子寮のぞきの犯人にされるというエロトラブルが勃発!さらにクラス対抗オリエンテーションも開かれ、学園生活はわちゃめちゃ。果たして丈途のエロの才能で、クラスはNO.1になれるのか!?15歳未満NG!禁断の学園生活のはじまりっ!第13回スニーカー大賞奨励賞受賞。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この作品は、第13回スニーカー大賞で「十三歳の郵便法師」という作品で『奨励賞』を受賞した伏見ひろゆき先生のデビュー作品ということになります。
内容は大まかに言うと、何かしらの才能の面で「天才」と呼ばれる者たちが集められた私立閃学園で繰り広げられる、主人公の芥川丈途の新入生としての新生活とクラスメートたちと紡がれるコミュニケーションの模様というのが大筋です。新入学。クラスメートたちとの交友。オリエンテーションを経ての級友たちとの交友。そういったことを経て、特に周りから見て際立ったところがあるわけでもない丈途が次第にクラスの中心となっていき、その才能の天才性は確実なれど精神的な問題を抱えていたヒロインである鳴唐吹音の問題をも最後には解いていく、そんなボーイ・ミーツ・ガールからはじまりコミュニケーションを経て登場人物たちが少しづつ成長していく物語でした。学園モノらしく「友情、努力、勝利」があり、その中にさらにラノベらしく「お色気、笑い、熱血」も混ざっていく、という感じでしょうか。
作品的には完成度はだいぶ高いかと思いますが、天才が集まる学校、という設定の割りに際立ったキャラがいなかったのが少し残念でしょうか。飛び出たキャラがいないので天才の集まる学校、といわれていても何だか普通の学校に感じました。
また主人公も、天才ポルノ作家という特徴的な才能の割に、それが作中で特に活躍したところもありませんでしたし、章扉に挿入されるポルノ風の一文による人気集めのための設定なのか?と邪推をしてしまう程度の活躍でしたし。
ヒロインの鳴唐吹音もいつもクラリネットを吹いているばかりで、なかなか内面を丈途が知る機会が無かったので読者視点でも吹音の背景がわからず、キャラクターを掴むのに少し苦労した感があります。
ですが全体の流れとしてはわかりやすく出来ていたかと。オリエンテーションという舞台でクラスが協力する必要があり、天才たちがそれぞれが持つ譲れない部分を譲らなければいけない、というようなプライドと妥協の狭間で揺れながら丈途の奔走でようやく協力していく。その様子が面白く、ひとつの目標に向かって主人公が周りを引っ張りながら向かっていくというのはこういった学園モノの展開としてはややありがちですがその分単純明瞭な展開でわかりやすかったな、と。
総じて若干、キャラの濃さがラノベにおいて「天才」を冠する割に普通だったのが少々拍子抜けだったでしょうか。ですが「天才」も「1個の個人」として扱われていて人間描写という面においては極論に走らない、丁寧な作風だったとも思いました。また展開そのものは至極単純明快でわかりやすいので、タイトルや設定に惑わされず、登場するキャラクターたちの一人一人をじっくり見ていくと判りやすい物語の中にちりばめられた各キャラクターの魅力が見えてくる。そんな作品だと感じましたね。


購入リスト

801式☆中学生日記 ~となりのひなちゃん~ (Next comics)

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うみねこのなく頃に Episode1(上) (講談社BOX)

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魔王子の花嫁 (ティアラ文庫)

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ちなみに見た目で買ってみたのですが「魔王子の花嫁」は完全にシュリンクで封をしてありました。何ゆえに?とか思っていたのですがさもありなん。ほぼエロ小説じゃないかこれ!な内容でした。(笑