アリアンロッド・サガ・リプレイ・アクロス2

アリアンロッド・サガ・リプレイ・アクロス2 狼の魂、竜の光

著者・久保田悠羅先生&F.E.A.R.。挿絵・植田亮先生&佐々木あかね先生&安達洋介先生&いろは楓先生&ツジヤスノリ先生&猫猫猫先生。著者の久保田先生はアリアンロッド・リプレイの『ハートフル』シリーズを書かれていて、リプレイでもPC(無印シリーズ:フェルシア)としても活躍されていますね。挿絵のメインは植田亮先生で、敵キャラクターイラストなんかに他の先生のイラストが出たりなどしている形になっています。
・登場人物
メインとなるPCパーティはシーフ/レンジャーでパーティのリーダー兼頭脳担当、スキルで隠れ潜みながら不意打ちと言う形で攻撃する暗殺者の様な戦い方をする、冷静なエルダナーンを演じるユンガー@『ナイトウィザード』の柊蓮司の声でお馴染み、矢薙直樹氏。
メイジ/メイジでパーティの後衛の主力、金髪のヒューリンで別のサガ・リプレイシリーズのPCアルの姉ということになった商人の娘、使用する魔法から「炎の申し子」とか呼ばれだしたエルザ・ブルックス@『鉄のラインバレル』『ナイトウィザードTheAnimation』でシナリオなどを担当している吉村清子女史。
16歳少年のヒューリンですが出生に謎があり、背中から羽が生えるウォーリア/ガンスリンガーの射撃での攻撃をするツヴァイ@『アリアンロッド』シリーズの生みの親、メインライターで数々の『世界の危機』を演出するGMでもある菊池たけし氏。
エクスマキナという機械人形の様な種族で、パーティの壁役、回復役のアコライト/アルケミストでモンクなども経由してまさにパーティの盾となりつつあるダイン@F.E.A.R.社員で『アルシャードff』『セブン=フォートレス』『ナイトウィザード』などのTRPGシステムの製作にも関与していた遠藤卓司氏。
他の登場人物はPCたちが所属する傭兵隊“黄金の狼"の元隊長、カテナ・アウレア。ツヴァイに好意を抱いている傭兵のミリア、その姉でアヴェルシア王国王妃のマリア、レイウォール貴族でカテナの兄でもあるアドルフィス。アドルフィスの元部下で、正体はユンガーたちと敵対していて世界中で戦争を起こすなどして暗躍する組織『バルムンク』の構成員グレゴリー、などなどです。
・シナリオ
滅亡寸前のアヴェルシア王国の首都フェリストルから王妃マリアを助け出すことになった傭兵隊“黄金の狼”の四人—ユンガー、エルザ、ツヴァイ、ダイン。街から脱出するため、彼らは敵兵の目を逃れ、地下水路へと向かう。だが、鉄格子で仕切られ迷路化した地下水路を進む一行の前に、宿敵バルムンクが立ちふさがる!アヴェルシア王国の運命を託された、傭兵たちを待ち受けるものとは…。今回PCたちが挑むのは広大なダンジョンとダンジョンのメソッドを利用したオープンフィールドの二本立て!これから「サガ」を遊ぼうという人にもぴったりな入門用リプレイの第二巻、ここに登場。(7&YHPより抜粋。)
・感想
壮大なるアリアンロッド・戦記シリーズの『アクロス』バージョンの第2巻。
前巻では傭兵団として戦争に関わり、一度は団の解散という憂き目に会いながらもPCたちが再度集結して傭兵団として再起、その上でPCたちの明確な敵となる『バルムンク』と戦う、という流れでした。この巻ではそんな再起した新生「黄金の狼」が、宿敵バルムンクの構成員たちを相手に一国の王妃様を逃がすため、地下水路というダンジョンで敵に遭遇しないようにダンジョン・アタックを敢行したり、逃げ込み先の領地までという広大なフィールドを敵に追いつかれないように距離が大事というカーチェイス風味なボードゲームの如き行程をしたりしていました。そんな訳で今回収録の話『第3話 逃走のワルツ』『第4話 運命のカデンツァ』では「誰かを守りながら逃走」という流れですね。
第3話「逃走のワルツ」。これはグラスウェルズ国の侵略を受けて滅亡寸前の王都フェリタニアから、NPCながらPCたちの仲間であるミリアの姉でアヴェルシア王妃であるマリアを助けて地下水路から国外に脱出する、というのを助ける話です。マリア王妃を狙うのが『バルムンク』で因縁のある相手でもあり、さらに登場する敵がツヴァイとも関係のありそうというものとなっていて、今後の伏線が多く散りばめられていた話でした。
第4話「運命のカデンツァ」。これは無事、王都フェリタニアを脱出したPCたちがマリア王妃を連れて行った先がまたも『バルムンク』の手が回っているところであり、やむなく王妃を再度連れ出して最も安全を保障できそうな場所に再度移送する、というものです。根回し無く王妃を連れ出したということで追っ手がかかり、その追っ手から逃げながらのボードゲーム的なやりとりで移動していく展開となっています。そしてラストでは、第1巻で敗北してしまった相手に雪辱戦を挑むことになり、エピローグの展開もあって第1部最終戦闘!という感じになっていました。
成長してのパーティバランスとしては、前衛と後衛では後衛は回復や補助などの面で不安が、前衛は攻撃面で不安がある、という感じになっていますか。能力的には悪くないのですが、相性が悪い敵と会ったら戦線崩壊が早いという弱点がある、というところです。ダインが魔法攻撃食らったら一瞬でボロボロになっていくように。役割分担はツヴァイとダインが前衛で、ツヴァイが攻撃、ダインが盾。ユンガーとエルザが後衛でどちらもスキルによる奇襲や魔法で大ダメージを狙うタイプ。ですがツヴァイはまだ攻撃力という点で力不足で、ダインに至っては攻撃力は皆無に近いです。その分ダインのカバーリングや回復などは眼を見張るものがありますが…魔法に弱いのでそこを突かれると脆かった印象でした。後衛組は攻撃一辺倒で、前衛のサポートがあまりできないのが気になるところですね。エルザのガーディアンくらいしか今のところ、サポート方法が無いので。今後の成長でそのあたりもカバーしていくのか、それとも戦術を極める形でこのままスキルを伸ばしていくのか、気になりますね。