ロウきゅーぶ!

ロウきゅーぶ! (電撃文庫)

ロウきゅーぶ! (電撃文庫)

ロウきゅーぶ!

著者・蒼山サグ先生。挿絵・てぃんくる先生。第15回電撃文庫小説大賞『銀賞』受賞作品の一角、です。
・登場人物
主人公は高校生になったばかりの1年生でバスケに情熱を燃やし実力もあったが、ある理由により情熱の燃やし所―――高校のバスケ部が1年間の休部となり、高校生活に絶望している長谷川昴。
ヒロインは5人。全員が小学生女子で、ヒロインその1はほくろがチャームポイントなショートカット女子、ヒロインの中で唯一のバスケ経験者の湊智花。ヒロイン2はヒロインたちの中で一番快活な印象を覚える二つ結びの三沢真帆。ヒロインその3、メガネと腰まで届く三つ編みが特徴で、文系少女っぽいが目つきはキツめの永塚紗季。ヒロインその4、ヒロインズ最高の高身長だがそれがコンプレックスでもある、高身長とショートボブの髪型という以外は特に特徴が無いと昴に思われてしまう香椎愛莉。ヒロインその5、一番小さくて身体能力も少ないが、その無自覚の愛らしさと言動に魅了されている男子同級生も多いふわふわしたウェーブヘアの袴田ひなた。
他に、昴をヒロインたちのコーチ役に推薦(強要)する昴の叔母でヒロインたちの教師役兼バスケ部のコーチでもあるタカムラ(竹に皇)美星。ヒロインズの対戦相手となる男子バスケ部のエース、竹中。顧問、カマキリ。
・シナリオ
高校入学とともに部長のロリコン疑惑で部活を失った長谷川昴。ただでさえ小学生の話題はタブーなのに気づけばなぜか小学校女子バスケ部コーチに就任って!?「ん?ぱんつなら心配ないよ、ほらっ」「やっぱりっ、でか女なんだわたしっ!」「おにーちゃんの背中が気に入りました」「あの、そ、そろそろご指導の方を—」「いろいろ面白くなってきたわね、ふふ」個性的な少女たち五人の猛烈アピールに振り回されっぱなしながらも、それぞれの想いを守るため昴はついに男を魅せる!小学生の女子だって悩みは多いのです。そんな彼女たちに翻弄されまくっちゃうさわやかローリング・スポコメディ。(7&YHPより抜粋。)
・感想
これは基本に忠実なスポコン小説ですね。『努力・友情・勝利』という集英社の某週間雑誌の如き展開が待っています。タイトルである「ロウきゅーぶ!」は文字通り漢字で書いたバスケ部を意味する言葉『籠球部』ということでしょうから、名は体を現す―――というそのまま、試合に向けて練習する様子と作戦を立てたり試合そのものを書く、小学生女子バスケ部が男子バスケ部と試合をする、というスポーツ中心の小説です。
内容は、急遽設立されたお遊び部活だった女子バスケ部が強豪の同校男子バスケ部に潰されそうになるが、ある理由からヒロインたちが潰されたくないと思い顧問教師に相談したところ、顧問教師の甥が実力があるがその実力の発揮どころを見失ったバスケプレイヤーで、彼をコーチに迎えて男子バスケ部に対抗しよう!という流れから物語が始まります。ヒロインたちが女子バスケ部を潰されたくないと願う理由を主人公が知ったこと、そしてヒロインたちの中に自分と似た境遇の存在を見つけて人事と思えなくなったことで正式にコーチとなり、打倒、男子バスケ部に動き出す。その結末は、試合はどうなるか―――?という感じです。
バスケットに関してはリアル重視です。所謂魔球の類ですとか、妖しい超能力的な必殺技とかは無い純粋なバスケット小説ですね。ヒロインたちには一長一短があり、それらをどう活かし、弱点をどう克服して男子バスケ部との試合に挑むかというのを主人公やヒロインたちが交流を深める中で考える、というのが作品の大まかな流れとなっています。
総じて、この作品は『銀賞』受賞ということであれば納得いく作品でした。ストレートに面白く、キャラクターたちも各自の役割がしっかりしていて見所での各自の活躍で見る所がはっきりしている、青春スポコンストーリーです。