いつか天魔の黒ウサギ2

いつか天魔の黒ウサギ2 <月>が昇る昼休み

著者・鏡貴也先生。挿絵・榎宮祐先生。鏡先生は同レーベルで人気シリーズ「伝説の勇者の伝説」シリーズを出されていますね。
・登場人物
主人公は「900秒間に7回殺されない限り本当には死なない」という条件限定の不死をヒロインのサイトヒメアから与えられた高校生、鉄大兎。ヒロインで「最古の魔術師」と呼ばれる力を持つヴァンパイアで、大兎に不死を与えた後、日向に連れ去られて行方知れずになっていたが再開し、今は大兎が通う学校の一画に隠れ住んでいるサイトヒメア。
その他のキャラクターは、高校の生徒会長で『凶剣』というマジックキャンセル能力を持つ武器を手に悪魔と戦う力を手にし、弟である日向を殺すという願いを前巻で叶えた紅月光。元は日向の放った使い魔だったが月光に返り討ちにあい、以来奴隷同然に従えられている安藤未雷。大兎の幼馴染で謎の行動を見せる時がある時雨遥。
・シナリオ
“あの狂った魔女を飼うのなら—『月』の侵蝕に気を付けて”はじまりは、ひとつの『伝言』だった。死んだはずの日向から、月光へ宛てたメッセージ。それが届くと同時に、宮阪高校には紅い月が昇り、大兎たちの体を蝕む紅い雨が降りそそぐ。『伝言』は何かの罠なのか、それとも…。全てが謎のまま、ヒメアの身にもまた変化が起きようとしていた—。「大兎、見ないで。…こんな汚れた私を」大兎は、9年前と同じ過ちを繰り返してしまうのか?“絶対に君を独りにしない”と誓う、学園リバース・ファンタジー。(7&YHPより抜粋。)
・感想
中二病設定のオンパレードでスタートした新シリーズ作品。第2巻ではまたも斜め上に行く展開を見せていました。
幼少期の大兎とヒメアを引き離した宿敵・日向を倒した大兎とヒメアの2人は、生徒会役員という名の月光の奴隷として時折学校に出現する異界の化け物の相手などをしながら生活していた。この巻でも普通にクラスで過ごしていたところでその化け物の相手を月光に命じられ、大兎は奔走しヒメアは彼についていき、大兎の為に昼食を用意していた遥は置いていかれる。そんな少し変わっているが普通の生活をしていたが、真昼に赤い月が昇り、空から死を与える赤い雨が降り始めて物語が進みます。ヒメアの様子が変わり、死した筈の日向が差し向けた敵が登場し、そして―――続きます。
そう、この巻ではこの話は完結しません。ヒメアに変化が起きて死んだ筈の日向が生きているような行動があり、異界の存在に月光が襲われてと色々と出来事が発生ながらも、その全てが片付かずに次巻へ続く、となります。その寸止め具合というか―――物語がまったく決着しない話はまた珍しく、斜め上に行く展開です。この展開を斬新と取るか異端と取るかは、次の第3巻でどんな結末を見せてくれるかで変わるでしょう。
そんな訳で、全てが途中のこの巻では感想も何も無い、というのが今の時点でのこの作品の感想ですね。
それでも強いて言うなら、この巻はヒメアにもまだ多く秘密というか、大兎の為に『何か』をしたというヒメアの過去に言及することの多い巻だった、というところでしょうか。