プライベート・ポリス

プライベート・ポリス 地獄から来た四姉妹

著者・沢上水也先生。挿絵・村上水軍先生。著者の沢上先生はGA文庫で「シャムロック」シリーズを出されており、この作品はその「シャムロック」シリーズに出てくる脇役の四姉妹をメインに据えたスピンオフ・作品です。挿絵の村上水軍先生はイラストを中心に活躍していて、ゲームの原画なども描かれていますね。
・登場人物
民間警察機構プライベート・ポリスのひとつ、チキンポリスに所属する「地獄から来た四姉妹」こと楓四姉妹がメインで、超悩殺系美女で長女の楓みちる、武闘派で体育大学生の楓玲子、クールで十六夜学園に通う女子高生でもあるオカルトマニアな三女の楓仁美、末娘でパニックを起こすと銃を乱射するはた迷惑な癖がある引っ込み思案な清純派の楓彩香。
この4姉妹をメインに置き、他に彼女たちの同僚である人見晴嘉。上司になる鳩沢清。同業他社「ニチケイ」の捜査部長、元・鳩沢夫人であったが離婚している鳩沢恵理。被害者となる老紳士などが登場します。それ以外にも本家シャムロックの登場人物たちが、この作品ではゲストとして登場しますね。
・シナリオ
観光地、高浜海岸のファーストフード店・チキンボーイは悲鳴と怒号と銃声で大騒ぎ。男ドモを魅了する容姿とは裏腹の過激な言動で「地獄から来た四姉妹」の異名を持つ楓四姉妹が、ハタの迷惑顧みず、今日も犯人逮捕に大活躍!熾烈な競争を繰り広げる民間警察業界にあってプライベート・ポリス「チキンポリス」の(悪)名は高まるばかり。超悩殺系美女のみちる、武闘派の玲子、クールな(?)オカルト少女の仁美、そして、人見知りで清純派の彩香…四姉妹が立ちむかう事件は思いがけない方向へ—。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この作品はGA文庫「シャムロック」シリーズの脇役として登場している「地獄から来た四姉妹」と呼ばれる楓四姉妹がメインとなる作品で、この作品中では特に四姉妹の末娘、楓彩香がスポットを浴びていました。
基本は水族館で発生した殺人事件に関する顛末。四姉妹の末娘、彩香が少し話をした老紳士が水族館で変死体となって発見されて直前まで話をしていた彩香はショックを受け、さらに老紳士がその身元も確認されないまま無縁仏として処理されようとしていることを知った彩香は匿名でも老紳士の身元を確認しようとする。が、老紳士の素性を追う内に彩香は新素材開発という名の企業と研究者の確執に触れていくことになり、老紳士の正体とその死の原因を知ることになる…、といった所で。
基本は軽い感じの捜査モノというか、サスペンスタッチながらコミカルな笑いのシーンが多目の作品となっています。ですがシャムロック同様に、決める所は決める、という形になっていてそのメリハリが面白い作品ですね。
今巻は楓四姉妹の末娘、彩香がメインということで彼女の純粋さや清純性を強調するシーンが多かったのもポイントでしょうか。男性関係にフリーダムな長女の言動に顔を赤くして振り回されたり、少し話をしただけの老紳士のために献身的に行動するなど、彼女の真っ直ぐな性格が多く語られていました。
総じてこの巻は「シャムロック」のスピンオフ作品で、はっちゃけ具合としては「シャムロック」よりは劣ります。ロボット戦も無いですし舌を巻くような言いくるめによる洗脳戦などの特異なシーンもありません。基本的な警察の捜査をベースとした、コミカル・サスペンス作品です。ですがそれが、シャムロックという作品シリーズのもうひとつの魅力として光っており、スピンオフ作品としてその作品性が良く出ていると思いましたね。