かぐや魔王式!

かぐや魔王式! (MF文庫J)

かぐや魔王式! (MF文庫J)

かぐや魔王式

著者・月見草平先生。挿絵・水沢深森先生。月見先生は同レーベルから「姫宮さんの中の人」シリーズなどを出されていますね。
・登場人物
主要キャストは主人公でハラグロな内心を隠して優等生を演じるが、それを真央に知られてこき使われることになる錦織貴。「世界を支配する」ことを目標に日夜活動する、真央の名前をもじって『魔王』と呼ばれる美少女の輝夜真央。ちょっと勉強の出来の悪い子で、その縁で錦織と親しくなる神社の娘の六道かなめ。成績優秀な女生徒で錦織に次ぐ成績を誇るが、少々人付き合いがぶっきらぼうな米倉愛。
・シナリオ
錦織貴は成績優秀、運動神経抜群、好感度・人望ともに言うことなしの爽やか男子である。…あくまで、見た目は。その腹の内は、人々の賞賛を集めるためならばどんな努力も惜しまず、人気を取るため睡眠をも削り、学校の頂点に立とうとする超・ハラグロ優等生。今日も、出しゃばらず慎重にクラス委員に推薦されるのを待っていた。—が、しかし。「大衆はコブタだ!」立ちはだかったのは、玉座を目指すと豪語する美少女、輝夜真央・あだ名は魔王。危険を感じた錦織は直接対決を避けようとするが、逆に仮面優等生であることがバレてしまい!?腹黒少年×魔王少女ラブコメディ登場。(7&YHPより抜粋。)
・感想
これは凄いMF文庫J版の「涼宮ハルヒの憂鬱」だ…!というのが、読み終わっての率直な感想でした。
突拍子も無い言動をするヒロインと、それに振り回される主人公の男の子。まんまハルヒキョンの関係です。違いをあげるなら序盤、ヒロインが主人公を脅迫して従わせていることで、言いようの無いカリスマで引っ張っていったハルヒキョンの関係よりも即物的、強制的だったことでしょうか。
内容に関しても「世界征服を目指すヒロイン」の割に、やっていることは「異能力者の捜索」だとかでやはりハルヒのリスペクト的な印象は拭えませんでした。
ですが、登場人物たちの差異がハルヒとの違いを出そうとする苦労が見られます。六道や米倉といったサブ・キャラクターたち…彼女たちにも古泉や長門的な立場での行動が見られるも、その能力的なものは宴会芸の域を出ない力だったり、殆ど蚊帳の外で話に絡んでこないスタンスだったりと、貴と真央という主役2人に絡み過ぎないようにすることで話を2人の関係性に集約していました。
総じて、正直に言えば多少のスパイスがハルヒとの違いを感じさせるも、やはり劣化版「涼宮ハルヒの憂鬱」という印象は拭いきれませんでしたね。今後でハルヒとどれだけの違いを見せてくれるのか、に期待です。