デモンパラサイト・リプレイ

デモンパラサイト・リプレイ ぬぎぬぎアクマとぱくぱくデーモン

著者・藤澤さなえ先生&北沢慶先生。挿絵・緒方剛志先生(代表作:電撃文庫ブギーポップ』シリーズの挿絵)&かわく先生(代表作:『新ソード・ワールドRPG NEXT』シリーズ挿絵)&槻城ゆう子先生(代表作:トレーディング・カード・ゲーム『アクエリアンエイジ』などのイラスト。個人的には『召喚の蛮名』という作品が印象深いです。)&洋武先生(イラスト中心で活動。漫画も書いているようです。)&今野隼人先生(代表作:デモンパラサイト・リプレイ『剣神』シリーズ挿絵)&上田夢人先生(代表作:漫画『アイドルマスターrelations』小説『戦闘城塞マスラヲ』挿絵)。元がイラストレーターによるデモンパラサイトのリプレイ、というお祭りイベントの集積物ということでイラストが尋常じゃない豪華さです。
・登場人物
悪魔寄生体『クレイモア』でパーティの前衛としてアタッカーを務めるんですが、衣服が無くなる事を気にしていまいち活躍の場が無い全裸役(ぇ の、かわく先生@伊門純香。純香とそこはかとなくいい感じな不良という悪魔寄生体『モリオン』でパーティの回復役、洋武先生@烏丸久介。防御が薄い代わりに攻撃が高い悪魔寄生体『ファランクス』でもう1人のパーティのアタッカーとして前衛で戦う、氷の様な一言が純香を振るえさせる槻城ゆう子先生@佐井彩子。パーティの最年長ですが所謂『ヲタク』であり、加齢臭がするとか、腹が出ているとか悪魔寄生体とは思えない特徴を多く持つ『ブリガンダイン』でパーティの守り役、緒方剛志先生@火山のぶ男。第2話からの参入になりますが、デモンパラサイトサプリメント鬼御魂」のデータを使って作られ『天鳳:アメノトリフネ』を持つ、偵察に風の刃を使った攻撃にと万事に活躍した今野隼人先生@フェレットのオメガ。
プレイヤー名は非公開ですが、キネティックノベル版主人公、速水十三。そのヒロイン、叶瑞姫。小説版の主人公、日向葵。リプレイ版のメインPCの1人、伊吹陽。
・シナリオ
「変身」して服を破って「全裸」になって大暴れ!暴れた後は「焼肉」食べてエネルギー回復!!欲望直結RPG『デモンパラサイト』に、人一倍の業を抱えた者たちが集まった!筆をサイコロに持ち替えたRPG大好きなイラストレーター5人とGM藤澤さなえが大暴走!ギャグ・下ネタ・コスプレ・悪ノリ満載のオーバーレブ・リプレイ登場。(7&YHPより抜粋。)
・感想
最初にも書きましたが、この作品はお祭り騒ぎの作品です。基本は短編集ですが、PCを務めるのが(名前がわかっている限りは)全員イラストレーターということで挿絵がとても豪華です。ですがその分対比するかのように、シナリオの内容はあって無きが如し。基本単発用シナリオで作られていますので、背後に潜む巨大な悪の陰謀…的なものは無く、街角のごろつきを退治する、町の掃除屋さん的なシナリオになっています。
内容は第1話『白雪が降る頃に舞う……』第2話『欲望と食欲のはざまに……』第3話『孤島に巣食う闇』と言うタイトルの3つの話。それぞれは第1話と第2話がイラストレーター・セッションで登場人物を引き継いで続いていく話で、1レベルからスタートするスタンダードな話。第3話は第1、2話と繋がりの無い別の話で、デモンパラサイト・シリーズの各分野から主人公格が集まっての7レベルほどからなるハイレベル・シナリオです。
『白雪の降る頃に舞う……』は、イラストレーターセッションの第1回目と言う事で、判定前に基本的な説明を交えたりしながらの基本中の基本な展開。それに見合い、内容も変な方向に暴走しがちなグダグダシナリオとなっています。食事で『衝動』が回復できるなどの設定を惜しげも無く出し、悪魔化して戦闘に入ろうとするときには先ず心配する、或いはどうするべきか考えるのが、『衣服をどうするか』という何とも緊張感の無い導入だったりします。そんな悪い意味でのデモンパラサイトの力の抜ける部分に、しかし全力で取り組んだ話―――そうとも取れますね。
『欲望と食欲のはざまに……』は、イラストレーターセッションの第2回目。第1話から登場人物たちなどを引き継ぎながら新PCであるオメガを交えての話。誘拐された有名人を助ける為にセラフィムからの依頼もあって行動するPCたちが、第1話の黒幕の同僚とも言える存在を相手にして、最後は切った張ったの大立ち回りをする話です。第1話よりも慣れが出てきたのか、各人の役割分担がハッキリしていましたね。
『孤島に巣食う闇』は、デモンパラサイトのクロスオーバー・作品。キネティック版、小説版、リプレイ版の主人公格が勢揃いして圧倒的な能力差で敵を撃滅殲滅しながらシナリオを進めていきます。敵の特徴―――攻撃方法などに偏りがあったなどGMの手落ちもいくらか見えますが、ハイレベルのPCたちによる超人的で格好良い展開が楽しめるという、デモンストレーションという意味では良い内容でした。
総じてこの作品は、タイトルに偽り無く登場人物がばんばか脱ぐわ喰うわの、超・馬鹿騒ぎ作品です。この作品で特に目を引くのはやはりイラスト関係ですね。表紙は言うに及ばず、中の3枚のカラーイラストのうち2枚は半裸の女の子たちの見開きとか服を脱ごうとしている葵&陽とかですし。サブタイトル通りのカラーイラストなんですが、ぱっと見だとデモンパラサイトのリプレイ、と言われるよりエロ小説です、と言われた方が一瞬納得してしまいそうな装丁になっています。ですがキャラクター紹介のページに書かれている絵がそれぞれのPCを担当したイラストレーターが書き下ろしたものだったり、挿絵も随所に挿入されるものは誰のもの、と決まっておらず、かわく先生の絵が出てきたと思えば槻城先生の絵が出てきたり、緒方先生の絵が出てきたりと普通のイラストの面でもかなり贅沢な仕上がりになっています。逆に言うと好みの絵じゃない絵でも出てきたりするので、どの絵も素晴らしい!と思える人とこの絵は好みじゃない…と思ってしまう人とでは感想が違ってくる、一長一短な特徴を持つ作品、というところでしょうか?