超鋼女セーラ6

超鋼女セーラ ソラの恋人、あの娘のトクベツ (HJ文庫)

超鋼女セーラ ソラの恋人、あの娘のトクベツ (HJ文庫)

超鋼女セーラ ソラの恋人、あの娘のトクベツ

著者・寺田とものり先生。挿絵・Ein先生。知る人ぞ知る懐かしいTRPG『番長学園!!』世界の世界観を引き継いでいる、『現実と似ているけど異なる現代世界』を舞台にして送られる物語ですね。
・登場人物
メインキャラは、ヒロインで文武両道に優れ生徒会長を務めるが、題名通りのロボット=超鋼女であり、主人公の茸味の彼女となった来栖セーラ。主人公で機械も人も等しく愛せる稀有な資質を持つ、ヒロインの来栖セーラとお付き合いしているセーラの彼氏、人間の瀬戸茸味(せと たけみ)。茸味に暴漢に絡まれているところを助けられて以来、茸味の事を意識している茸味のクラスメートの御浜千美絵。セーラと同じ超鋼女で、別の学校に通うセーラの姉妹機、泉秋院ラヴィニア。貧乏教会の一人娘、千美絵の親友で超鋼女・ベッキーのマスターの春日井絢乃。春日井家=教会に居候しているセーラ、ラヴィニアと同じ超鋼女の姉妹機のベッキー。以前にセーラに挑んだが打ち倒されて保護され、修理を受け現在は瀬戸家で居候をして色々と学んでいる途中のセーラたち姉妹の末っ子、サァラ。
サブキャラクターには生徒会書記の東本地ヶ原湯ノ花、クラスメートの馬頭修、鹿山健介、セーラの養父、来栖ラルフ、ラルフと同業者の折神折枝、超鋼女のエイミー、ジョオ、彼女達のマスターの征爾・ミチザトなどが登場します。
敵役は亘理重工工業高校のロリコン不良マスター、六栗禅。超鋼機の開発者の字越丸など。
・シナリオ
大事件大事件!!セーラが機能停止に陥いり、倒れてしまった!なんとか修復をしてもらったセーラであったが、修理後の身体は中学生ボディ!!(しかも「えっちができる」機能付きだった!!)そして、小さな身体でちょこまかと可愛らしく生徒会の仕事をこなすセーラを狙い、予想だにしない敵が現れる…。大人気学園ラブコメシリーズ第6弾。(7&YHPより抜粋。)
・感想
ブコメな学園バトルもあるよシリーズの第6巻。今巻はお姉さまキャラだったロボっ娘のセーラがボディの不調に見舞われ、中学生時代に使っていたロリっ娘ボディを一時的に使うことになることから始まります。身体に引きつられてか、言動も普段とは違ってやや幼くなったセーラという、貴重な姿が見られる巻でもあります。そんな中、超鋼機武闘会を取り仕切る『女王宮』の内部での不穏な動きをする裏からの手回しにより、亘理重工工業高校の超鋼機とそのマスターが、中学生ボディになってスペックダウンしたと見たセーラたちを相手に超鋼機バトルを仕掛けようと、謳歌高校を占拠します。偶然その時高校にいなかったセーラは果たして、茸味と合流し、謳歌高校のみんなを助け出せるか―――?内容としてはそんな話になっています。
今巻は前述した中学生化したセーラの可愛さと、御浜千美絵の茸味へダイレクトに告白しようとして奮闘する姿が見所、でしょうか。
普段がお姉さまな感じでそんな中で茸味とラブラブしようとして所謂美人なお姉さんが初々しい恋愛模様を見せる、というギャップ的な魅力を見せていたセーラが、今巻では中学生化して年相応な恋模様を見せているようになっていてその愛らしさ、可愛さが抜群に輝いていました。その姿のままで長大なBODを扱って戦いもしていて、挿絵などでは、小さな女の子が凛々しくも身体に合わない武器を使って活躍している姿が書かれたりしていて、なおさらそう思いましたね。
千美絵の告白しようと奮闘する姿は、思い立った矢先に亘理重工工業高校の襲撃があったためにお流れになるかと思いきや、その襲撃があったために思い切って最後には茸味に言えた、という形になっていて若干皮肉が利いていますね。襲撃の中、サァラとの再戦の為に暴走してきたエイミーと出会い、またそんなエイミーを追ってきた征爾・ミチザトと出会い、前の巻で見せた冷静に交渉を進めるなど一種の覚悟を決まった姿を思い出せたからこそ、最後に茸味にも積極的に慣れた、と見えますからね。千美絵は意外と、こうと決めたら強いタイプ、というやつですねぇ。
そんなダブルヒロインの影に隠れ気味でしたが、今巻で最も活躍したのは番長能力者にして生徒会会計の東本地ヶ原湯ノ花です。亘理重工工業高校の占拠時に不在だった生徒会。その中で唯一留守番として残っていた東本地ヶ原の、人質に取られた生徒を助けようと活動する姿はなかなか格好良いものがありました。番長能力―――『祝福』持ちといえど、その力は戦いには向かない事務的な能力。しかしそれを上手く扱い、小型超鋼機で状況を打破する為に動いていたのは、圧倒的戦力や超常的な力があればすべてOK!というわけではない、やり方次第でどんな力も使いようがある、ということを見せる良い例となっていましたね。
総じて今巻は小さくなったセーラや告白の為に奮闘する千美絵に萌え、襲撃者から生徒を助ける為に活動する湯ノ花に燃えるといった、女性陣の活躍が多い巻でした。書かなかった分でもエイミーの一途さやサァラの成長、ラヴィニアのクールさなど多くの見所があります。その分、今巻は茸味は活躍が無かったわけではありませんが他のヒロイン達の方が輝いていて、主人公ながら今回はメインの立場は他に譲った、という感じでしたね。