世界の危機はめくるめく!

世界の危機はめくるめく! (ファミ通文庫)

世界の危機はめくるめく! (ファミ通文庫)

世界の危機はめくるめく!

著者・佐藤了先生。挿絵・藤真拓哉先生。佐藤先生は同レーベルからの作品「私のKnightになってよネ!」シリーズが著作にありますね。挿絵の藤真先生は「ネギま!?neo」というスピンオフ作品というか原作付き漫画を連載されてますね。
・登場人物
主人公で神様から世界を危機から救う『選ばれし者』で、選ばれた時に好きな能力を与えてやるといわれて「スカートをめくる力」を貰った希代の馬鹿高校生、宮田真吾。ヒロインで真吾と同じ『選ばれし者』で、他の『選ばれし者』を感知したり、世界の危機が近づいた時にそれが何処に迫っているかがわかる力を貰った住吉穂香。
サブキャラクターは『選ばれし者』で「何でも防ぐバリア」という能力を貰った生意気な小学四年生、八坂光夫。半引き篭もりオタク浪人生で「瞬間移動」の能力を貰った『選ばれし者』の松川淳。飼い犬で少し時代がかった話し方をする犬の『選ばれし者』で、分身の能力を得たタロウ。穂香の中に魂だけで存在し、アドバイザー兼真吾たちが世界を守る事に失敗した時のサポート用に存在するグランディオーソ。他、真吾の担任教師など多数、というところです。
敵役は、「世界の危機」として示される異世界からの侵略者、その侵略者達の王であるガルヴァン・ディ・デス・オクターヴァ大王。そしてその娘で、13歳の少女でありながらも戦場に出て部下を鼓舞し、真吾たちとも戦うリーナ・シェン・フィス・オクターヴァ。
・シナリオ
“スカートめくり”で世界を救え!

全てはその夢から始まった。神様から“世界の危機を救う者”に選ばれた俺、宮田真吾は、特殊能力に“スカートをめくる力”が欲しいと言ったんだ。どうせ夢だし。だが翌日高校で、こっそり女子を狙って(めくれろっ)とやってみると……え? 本当にめくれた! これは……使える(ニヤリ)。と思った矢先、同じく“選ばれし者”だという美少女が現れて「一緒に仲間を探しましょう」……ってことは、アレ? “世界の危機”も本当に来るの!? 非日常系クライシス・ラブコメ見参!(エンターブレインHPの内容紹介より抜粋。)
・感想
登場人物の紹介だけ見ていると、「変なタイトルの割に意外と真面目な話なのか?」と思えるかもしれませんが、どっこい、この作品はエロコメと言うか、スケベバカコメディというか…。兎に角登場人物の主要部分を締める男性メンバーがエロス馬鹿全開の3人+1匹です。そしてこの3人+1匹に、唯一の良く言えば真面目というか常識人。悪く言えば世間知らずお嬢様の住吉穂香がヒロインとして色々エロスな目に会わされて大変な思いをする―――これがこの作品の全て、ですね。
主人公の力がスカートめくりであり、タイトルも「めくるめく」だけあって、思春期真っ只中の少年の率直な欲望が全編に渡って繰り出され続けます。この少年の暴走というかリビドーに忠実なスタイルを、読者として笑って流せるか、それとも眉を顰めるかで作品の評価は変わるんじゃないでしょうか。ちなみに私個人としては笑って流せましたので、単純にエロコメディとして気楽に読める作品でしたね。
展開はかなり王道的な話を踏襲しながら進む事が多く、そういった意味では真新しさはありません。敵として登場する美少女が紆余曲折の上で主人公の元にやってくるとか、昔、出会ったことがある少女とそれと知らずに主人公が再会して、少女は主人公に仄かな想いを抱いているとか、手垢が着いたようなバックストーリーが、詰め込み気味にガンガン展開されていました。この辺りは少々、詰め過ぎじゃないかなと思わなくも無かったです。ラストの展開が残りページ数の都合で急に動いてる気がしました。
総じて、最初から最後まで馬鹿なノリで、一部で真吾が格好をつけてもその直後に「持ち上げてから落とす」のお約束を踏襲するようにシリアスからギャグに移行します。その比率はシリアス1にギャグ4くらいで、かなり大真面目に馬鹿な話をしてるなー、とか思いましたね。残り?残りはエロ5、って所です。