アスラクライン10

アスラクライン10 科學部カイメツ

著者・三雲岳斗先生。挿絵・和狸ナオ先生によるハイスクール・パンクシリーズ作品の第8段です。著者の別著作としては「コールド・ゲヘナ」シリーズ、「i.d. (1) (電撃文庫 (0791))」シリーズ、「レベリオン―放課後の殺戮者 (電撃文庫)」シリーズ、後は単発?で「道士さまにおねがい (電撃文庫)」「道士さまといっしょ (電撃文庫)」なんてのがありますね。
・登場人物
主人公で重力を操る機巧魔神『クロガネ』の演奏者の夏目智春を中心に、クロガネの副葬処女で智春にくっついている幽霊もどきの水無神操緒、炎の悪魔で智春を護ろうとする美少女の嵩月奏、体の半分を機巧魔神のパーツで補った半人半機の智春たちの先輩である黒崎朱浬、メインはこの辺りで、サブキャラクターとして智春のクラスメートの樋口琢磨、大原杏、佐伯玲子、天才少女で飛び級で智春たちの学校に交換留学生としてやってきて行方不明の姉を捜していたアニア。副葬処女を失った元・演奏者の佐伯玲子郎、第2生徒会生徒会長の倉沢六夏、同会員の佐原ひかり、第3生徒会の会長で智春たちの上司にも当たる橘高冬琉、智春たちが所属する科學部部長の荽塔貴也。操緒の姉の水無神環緒。GD最強の機巧魔神『白鋼』を持つ男装の麗人、雪原瑤。こんなところでしょうかね。
そして今巻では、ついに智春の兄、夏目直貴が登場します。
・シナリオ
一巡目の世界崩壊の秘密を知る女性、水無月環緒とようやく再会した智春たち。そんな彼らを襲撃してきたのは、真日和の使い魔の風獣と、仮面をつけた謎の女。機巧魔神すら凌駕する反面的な強さの追跡者を相手に、繰り広げられる熾烈なカーチェイス。智春たちは果たして環緒を守り抜くことが出来るのか。そしてついに非在化の発作を起こした奏を前に、智春が下した決断とは—?環緒が語る驚愕の真実と、壊れゆく日常。大人気スクールパンク、なんだかんだで激動の第10弾。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この巻は第9巻に僅かに収録されていた、操緒の姉、環緒を探して女子寮に潜入した話から続いて進みます。女子寮から脱出しながらも謎の敵に狙われ追い掛け回される智春たち。謎の敵ピカソ仮面や真日和、鳳島氷羽子、そして正体不明の氷羽子の契約者を相手にする内に、六夏や冬琉が次々と打ち倒されていき、科學部はかつてないピンチを迎えますね。敵と科學部との戦いの果てに何が待つのか―――と言うのが、この巻での見所でしょうか。
今回はカー・チェイスを初めとしたスピード感の強いシーンが多いですね。また、環緒を狙う敵から盗難車のBMWを運転して逃げる智春たちと、それを追うのは最速の使い魔である真日和のヴィヴィアンとそれに乗るピカソ仮面。高速で移動しながら迎撃する環緒や奏だったがそれをものともしないピカソ仮面は凄まじい戦闘力で追い縋ってくる―――。などの、高速での戦闘の中で圧倒的力に追いかけられる智春たちが印象的でした。また、実際のスピード感だけでなく展開が二転三転しての早さも印象的です。奏の非在化の進行に、鳴桜邸の爆破事件。また最終戦闘では、ピンチに陥った智春たちを助けに助っ人が登場したかと思えば意外なピカソ仮面の正体にまたピンチに、かと思えば再度の助っ人登場でのピンチ脱出かと思うと、思いもよらない人物の裏切りで再度のピンチにと、戦場の動向が二転三転どころか四転五転としていてその展開の速さは驚きました。
また、色々な謎がこの巻では明らかになりますね。4年前の智春と操緒、朱浬の妹の紫浬が巻き込まれた飛行機事故で起きた真実、環緒と直貴の正体、勿論、氷羽子の契約者の正体も含めて、色々これまで謎だった事が次々と明かされていきました。
そして最後の、この先どうなるんだ!?と思わずにはいられない状況の変化。メインキャストの大半が倒れ、或いは敵化し、最強の敵となったあの人に智春とクロガネは立ち向かえるのか―――と言う所でのまさかの状況リセット。新しい状況に、智春はどうなるのか、第11巻が待ち遠しくなるラストの引きでした。