聖剣の刀鍛冶2

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス)〈2〉 (MF文庫J)

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス)〈2〉 (MF文庫J)

聖剣の刀鍛冶

著者・三浦勇雄先生、挿絵・屡那先生の剣や魔法に魔獣などが出てくる本格ファンタジー小説ですね。著者の三浦先生はMF文庫Jで『クリスマス上等。』などを初めとする『上等。』シリーズという作品を書かれていました。
・登場人物
主人公格として視点の主眼を勤める新人の女騎士団員セシリー・キャンベル。セシリーに持っている剣=刀に眼を止められ、彼女に「私の刀を打って欲しい!」と請われて頼み込まれる事になる刀鍛冶師のルーク・エインズワース。そんなルークの相方で刀鍛冶を手伝う住み込み同居人の少女リサ。とある理由からセシリーが護衛をする事になる女性のアリア。セシリーやルークたちが住む街の市長でありルークとも旧知であるヒューゴー・ハウスマン。メインはこんなところで、他にまぁ魔獣だとか盗賊だとか、騎士団長だとか平騎士団員とかが出てきますね。
この巻でのニューカマーは、『帝国』の皇女を称するシャーロット・E・フィーロビッシャーと、彼女が所有する意志を持つ魔剣のエヴァドニ。そしてシャーロットに従う意志を持たない魔剣を持つ3人の騎士ドリス、マーゴット、ペネロペ。
そしてルークやリサの過去と関係の深い故人、リーザ・オークウッド。ざっとこんな所ですね。
・シナリオ
鍛冶屋のルークのもとに、従者を連れた少女がやってきた。「帝国に刀鍛冶として招き入れたい」のだという。同刻、騎士のセシリーは三人の少女剣士に襲撃されていた。魔剣・アリアを連れていたため、一閃で討ち負かされこそしなかったセシリーだが、窮地に立たされ―!?やがて、大陸の交易の要・独立交易都市を舞台に、いまだ大陸に影を落とすかつての忌まわしい戦争“ヴァルバニル”対策会議が開かれる。ルークの過去に秘められた“聖剣”を巡り、帝国の不穏な思惑が策動し始める!!鞘走り加速する壮大なファンタジー叙事、深く懐に踏み込み、第二閃。(7&YHPより抜粋。)
・感想
『上等。』シリーズの作者の新シリーズ第2作目、発刊までいろいろあったのか、妙に長くかかりましたね。
内容は2話で構成。第4話「皇女」第5話「刀鍛冶」で構成されており、この2話を使ってタイトルである所の『聖剣の刀鍛冶』という言葉の意味を説明しています。第4話では掛かり部分の説明、ルークが刀鍛冶であるという事が実は凄い重要な事であるのだ、ということを妾腹の皇女・シャーロットがルークに関わる事で強調しつつ、第5話では聖剣に関してさらに深く掘り下げ、メインキャストであるセシリーが同じくメインキャストであるルークの過去を知る話をしながら、『聖剣』とか『魔剣』が何故あるのか、そして祈祷契約とか精霊契約とか言われるものが本当は何なのかを語る―――そんな話になっていますね。
セシリーの気持ちもルークと関わる事で彼に関するところに思うことが多くなっており、第5話ではその感情にコメディっぽく振り回されながらもルークの深い所に触れる事で、2人の絆がまた強くなっている一面などが見られていました。
リサに関してもその誕生の経緯やそこに託された思いをセシリーが読み解きその存在の意味をルークが知ったり、シャーロットも皇女としての存在意義と仲間の命を天秤にかけるような状態で決断をしたりなどと、登場人物の重要な存在意義を語るシーンが多く見られましたね。
総じると今巻ではセシリーが色々と知る―――引いては読者が世界設定とか裏話の一部を知る、説明的なセリフの多かった巻だと思います。大仰な言い回しが味のセシリーの発言が多く、彼女の立ち回りが多く見られ楽しめます。