ライトノベルの楽しい書き方2

ライトノベルの楽しい書き方 2 (GA文庫)

ライトノベルの楽しい書き方 2 (GA文庫)

ライトノベルの楽しい書き方

著者・本田透先生。挿絵・桐野霞先生。本田先生はGA文庫では「ボクの紫苑」シリーズ、他レーベルではスーパーダッシュ文庫で「アストロ!乙女塾」シリーズ、「円卓生徒会」シリーズ、角川スニーカー文庫で「イマジン秘蹟」シリーズなどを書かれています。イラストの桐野霞先生はMF文庫Jで「渚フォルテッシモ」挿絵、電撃マ王で「撲殺天使ドクロちゃん りぴる」の漫画、などを描かれていますね。
・登場人物
主人公は海洋生物に造詣の深い高校生で生物部、しかしライトノベルなどは殆ど読んだ事が無い与八雲。ヒロインは学園最強と呼ばれる少女で背が高いモデル体型で美女でもあるが、その実は”姫宮美桜”というペンネームでライトノベル作家をしているらぶりぃでふぁんしぃな物好きな流鏑馬剣
サブキャラクターは八雲の妹の与こゆり、母親の与まゆみ、姉の与心夏、クラスメートの市古ゆうな。今巻ではこのサブキャラクターの一人、市古ゆうながクローズアップされて八雲と剣に関わってくる、という感じなっていますね。
・シナリオ
 出版したライトノベル新シリーズ1巻目の売れ行きに気を良くした学園最強少女にして作家の流鏑馬剣。だが、そんな喜びも長くは続かなかった。学園一かわいい女の子・市古ゆうなさんが偶然にも始めた夏休みのアルバイトがきっかけで、剣の仮の恋人である与八雲と運命的に急接近……? そんなこんなのアクシデントで、剣は2巻目の構想に行き詰まり、担当編集・与心夏を困らせていた。状況を打開すべく、一計を案じた心夏は、自身の従弟でもある八雲と、絵師のぽんぽん先生を夏休みを使った合宿へと剣を誘い出す。その合宿で実際の三角関係を体感させ、2巻目の作品内容に反映させようというのだ。 こうして、それぞれの思惑を秘めた夏の海を舞台にした、三角関係強化合宿がスタートする。だが、ライトノベルを完成させるための企画だったはずが、水着での騒動や海の生物が次々に登場するなど、予想外の怒涛の展開に……。 果たして2巻は無事に完成するのだろうか、そして三人の関係はどうなるのか!?(GA文庫HPより抜粋。)
・感想
この巻は典型的な第2巻―――第1巻での出来事を経て接近した主人公とヒロインの間に、第3者として恋のライバル的な存在が現れ2人の仲を引っ掻き回す『三角関係』を主軸にした話―――ですが、第1巻からその存在が表明されていた市古ゆうなにその役割を当てているだけに、突発的なイベント、という印象はありません。作者の準備勝ち、というところでしょうか。またキャラクターとしても、ライバル的立ち位置ですが自分でそれを否定する―――八雲と自分が恋仲になるなど有り得ないと発言する―――などと、主人公・メインヒロイン・サブヒロインによる三角関係を立たせるような登場をしながらも、それを自分で否定するという面白いキャラクターになっていますね。
今巻は舞台が海となっているのですが、この舞台でも典型的なライトノベル的展開が進められていくのは一種の予定調和を楽しむ、的な進行で逆に楽しめましたね。海とくれば水着のヒロインやら無人島やら鮫の登場やら青春の激突やらなどがありますが、この巻で全部起きていたのにはある意味笑いながら感心しました。これだけ詰め込んでよくまぁまとめたなぁ、と。これだけ詰め込んで1巻で纏め、さらに各登場キャラクターにも見せ場がある、と、作者先生のストーリー作りの技術の高さを伺わせますね。しかし流石に、主人公である八雲の存在感が薄くはなっていました。物語り後半になると、剣とゆうなの女の友情的な話に物語の焦点がシフトするので、益々その存在感は薄くなっていましたね。
総じてこの巻は、『三角関係』を主軸に据えており、剣とゆうなが女の友情を育み、激突し、その経験からさらにそれを強固にする―――と言う、2人の女の子が新しく友情を確立して親友になるまでを書いた巻でしたね。可愛らしく女の子女の子している市古ゆうなに憧れる流鏑馬剣、凛々しくしっかりしていて美人な流鏑馬剣みたいになりたいと思っている市古ゆうな。そんな2人の、互いに互いの長所に憧れる感情が生み出してしまう激突に魅せられてください。