ルーンファクトリー2

ルーンファクトリー2 ~流れ星とセシリア~ (GAMECITY文庫)

ルーンファクトリー2 ~流れ星とセシリア~ (GAMECITY文庫)

ルーンファクトリー2 〜流れ星とセシリア〜

著者・柄本和昭先生。原作・はしもとよしふみ先生。本文イラスト・油屋よし先生。表紙イラスト、作中登場人物紹介イラスト・岩崎美奈子先生。所謂中の絵は別の人ですが表紙絵などは原作ゲームの絵を書いた人が担当、という奴ですね。とは言え自己紹介絵なども殆ど原作で使われていた絵ですので新絵がある訳ではありませんが。
・登場人物
ゲーム同様です。主人公はカイル。ただし、ヒロインはメインヒロインであるマナではなくセシリア。他のサブキャラクターとして、アルヴァーナ村の住人達―――ジェイク。マナ。バレット。ユエ。マックス。ジュリア。ロザリンド。レイ。ゴードン。ダグラス。ヘリチャコス。ナタリー。アリシア。ドロシー。ターニャ。ロイ。カノン。そして結構なキー・キャラクターとして額の角が欠けているゴブリン。こんなところですね。
・シナリオ
牧場・冒険・恋愛―セレッソの木々がしげり、豊かな土地にも恵まれた、自然いっぱいの町「アルヴァーナ」での、ほのぼの生活ファンタジーが楽しめる、大人気ゲーム『ルーンファクトリー2』のオフィシャルノベルが登場!見知らぬ町にやってきた主人公カイルと、アルヴァーナのヒロインたちが、お花見やダンス祭、流星祭で、じっくりロマンスを育んでいきます。カイルの心を射止めるヒロインは、いったい誰…。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この作品は原作ゲームの流れを追いかけながら、ヒロインであるセシリアのストーリーを進めていくといった作品になっています。作中では1年が過ぎ、その中で主人公のカイルの視点でヒロインたちとの様々な物語が進んでいく―――そんな中でのカイルとセシリアの恋物語ですね。
物語は春、カイルが記憶を失っている状態で気がつきマナの手助けを受けてアルヴァーナ村に住む事になりセシリアと出会い、夏の村の依頼をこなす話、夏の終わりの幽霊騒動の話、秋の冒険祭の話、そして冬にセシリアと心を通わせる顛末と話が続いていきます。
私はセシリアルートはクリアしていませんので細部が原作通りなのかはわかりませんが、原作で登場したキャラクターたちが原作で起きたイベントを続けていく…その過程で、ゲームでは見られないちょっとした会話が見られたり、カイルと村の住人達との心の交流がゲームよりより詳しく書かれたりしていて、読んでいるとルーンファクトリーの世界にうまく浸れますね。
見所としてはやはり、カイルとセシリアの少しづつ歩み寄っていく2人の心情でしょうか。徐々に近づいていく心情が1年という舞台で書かれていて、素直な2人の姿は見ていてほのぼのしますね。それだけでなく、すれ違った冬での出来事でセシリアを心配するカイルの必死な姿があったりなどの展開もありと起承転結に富んだ作風でした。
またサブキャラクターとして回されてしまった元祖メインヒロイン―――マナの心情も、さりげない切なさを感じさせてくれます。あまり多くはないカイルとの会話の端々に見られるカイルへの思慕と、そのカイルの気持ちがセシリアに向いている事を感じ取っていながらカイルとセシリアの仲を応援するマナのいじらしさは、メインヒロインからスピンアウトしたとはいえその魅力は健在、ということでしょうね。
セシリアのルートで関わってくるのであろうジェイクも、本作ではカイルによく関わってくる役割でした。人間嫌いのエルフということでハーフエルフのセシリアを心配して、仲良くなっていくカイルに冷たく当たるも、最後には理解を示すぶっきらぼうで不器用だけど優しい…そんなキャラクターが、作中でもよく書かれていました。
総じてこの作品は、原作の前半部分―――カイルを主人公とするマナやセシリアといったヒロインたちの1人を選んで結婚するまでの物語を書いたものです。ほのぼのとした村で、時折ちょっと変わった出来事―――ゴブリンが襲ってきたりしたり、村の行事に参加したりしながらカイルが意中の人―――この話ではセシリア―――と、仲を深めていくハートフルながら起伏あり、緊張もありの話でしたね。