生徒会の二心

生徒会の二心 碧陽学園生徒会議事録2 (富士見ファンタジア文庫 166-8 )

生徒会の二心　碧陽学園生徒会議事録２

著者・葵せきな先生。挿絵・狗神煌先生。短編連作形式の、とある学園の生徒会である男１人と女４人の一団が毎回何かしらのテーマでもって話をしたりしている様子を書いた作品です。著者先生の葵せきな先生は、他の著作に「マテリアルゴースト」シリーズなどがありますね。
・登場人物
生徒会で２人いる副会長の片方で、「生徒会を俺のハーレムにする！」と公言して憚らないお馬鹿でエロスな男。でも何故か憎め無いキャラで、周りには慕われている主人公の杉崎鍵。生徒会長で３年。ちびっ子で思い立ったままに行動するタイプだがカリスマはある美少女の桜野くりむ。長身・モデル体系・優しくクール…だが、ドＳな書記の美少女、紅葉知弦。２人いる副会長の片方、ボーイッシュで健康的美少女だが百合気味で、同級生の鍵には遠慮は無いが愛も無いデレないツンデレこと椎名深夏。深夏の妹で儚げ＆男性恐怖症と守ってあげたくなるタイプだが特殊な趣味がある会計の椎名真冬。
この巻から新登場の生徒会顧問に、これ本当に教師？的な嘘まみれで発言する新任国語教師の真儀瑠紗鳥が追加されます。
・シナリオ
私立碧陽学園生徒会室―そこは、選ばれし者だけが入室を許される聖域にして楽園…のはずだった。突如現れた「生徒会顧問」を名乗る美女。彼女は不敵に微笑んでこう言った。「それは、禁則事（自主規制）」…すいません、また同じ手を使いました。嘘です。では改めてもう一度。彼女は不敵に微笑んでこう言った。「この生徒会、今日でお終いだ。解散」愛すべき日常をつづった記録の一端といえば聞こえはいいが、実は何も話が進んでいなかった第１巻。ここに来て、ついに物語に変化が！？真実はぜひあなたの目で確かめてほしい第２巻、やっぱり妄想暴走絶好調。（７＆ＹＨＰより抜粋。）
・感想
話の展開は前巻から変わっていません。会長である桜野くりむが何かしらお題を提示。それに対して生徒会メンバーが話を盛り上げていく―――そういう形式です。
ただ今巻は、前巻がパロディ＆ギャグとシリアスの対比が７：３、或いは８：２くらいだったのに対してこの巻では５：５ないし６：４くらいになっていますね。基本的に前巻よりも笑い成分を押さえて真面目な話をしているシーンなどがよく見られたほうかと。紅葉知弦の過去に関する話や何か裏のありそうな新登場キャラ真儀瑠紗鳥の怪しい発現など。
しかし今巻は前巻よりはまだパロディは少ない方でしょうか。その分会話に重点を置いたギャグ部分が多かったですが、今巻では前述したようにパロディ＆ギャグとシリアスの比率が同じくらいに感じられましたので第１巻に比べると、パンチが弱かった気がしますね。第１巻で大笑いした人などが同じ笑いを期待して買うと、若干期待はずれかもしれません。
さりとて悪いばかりでもなく。新登場の真儀瑠紗鳥は、その唐突且つ突発的な登場に比例するように会話が壊れていて、インパクト抜群でしたね。曲者揃いの生徒会メンバーに新規参入という形にも関わらず、その存在感は爆発的印象を与えていました。
総じてこの作品、前巻ほどのインパクトが無いながらもその本質は変わっておらず。温〜い生徒会が生徒会室で温〜い日々を送る姿を書いている作品ということで、力を抜いてマッタリ読める作品ですね。