姫宮さんの中の人2

姫宮さんの中の人2 夏盛りオレンジシャンプー

著者・月見草平先生。挿絵・Ein先生。月見先生は他著作に同レーベルから1回MF文庫Jライトノベル新人賞審査員特別賞を受賞した『魔法鍵師カルナ』シリーズや『桜乃きらほ』シリーズなどがあります。Ein先生はPCゲーム『ガジェットトライアル』キャラクターデザイン、HJ文庫の『超鋼女セーラ』シリーズの挿絵などロボ娘をよく描かれていますね。
・登場人物
ヒロインである姫宮ちとせの外出時姿である『外の人スーツ』着用状態の時の、生徒会長で全校生徒の憧れ姫宮ちとせ(外)。『外の人スーツ』を脱いでいる時の、見た目小学生という外見の姫宮ちとせ(中)。姫宮ちとせの秘密を知ったことから彼女と関わっていく巻き込まれ型の主人公、星野純人。純人の幼馴染で中学は別の学校で、高校からまた同じ学校で交友が再開された神楽結衣。ちとせの姉、『外の人スーツ』の設計者で過激に妹を心配する姫宮ちなつ。ちとせの愛犬、ジーグ。そして今巻では、新キャラクターに無口な寡黙少女の浦乃霞が登場し純人とちとせの間に恋の嵐を起こしますね。
・シナリオ
星野純人は彼女いない暦=年齢などこにでもいる平凡な高校1年生。このまま平々凡々と、高校生活を送っていくはずだった。がしかし!とあるハプニングから学校のマドンナ・姫宮ちとせの大いなる秘密を知ってしまう。それは―彼女の体は実はサイボーグ=外の人スーツで、中にホンモノのちとせがいる、ということ!!しかも「中のちとせ」は重度の対人恐怖症で、星野に人嫌いを治すのを手伝って欲しいと頼んできた。つまり、秘密を守りながら外の人スーツを脱がせるということで…。そして今は夏休み、夏期講習に大忙しの1年C組には気になる存在がいた。それは季節はずれの転校生浦乃霞。ちとせの中の人を巡り、何かが起こる―。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この巻は、前巻で明かされなかった「ちとせが『外の人スーツ』を脱ぐと不幸になる」というちなつの言葉を証明するような巻ですね。ちとせが『外の人スーツ』を着ていることを知り、しかしその詳細を知らない某組織からエージェントが送り込まれたりして、ちとせのその正体が暴かれる危機が発生します。またそれと同時進行で、転校生浦乃霞が新登場して純人とちとせ、結衣の3人の関係に新しい波紋が投げられます。
ちとせの正体とそれを暴こうとする組織に関しては、組織の動きによってちとせは何度か危機に陥ります。それとは関係無い猫によるちとせの正体がバレそうになる騒動や、組織そのものの行動による正体発覚の騒動と、この巻でもちとせの正体発覚については色々な騒動が起きますね。組織が科学的に『外の人スーツ』を攻めたり、猫が偶発的に起こした状況だったりと色々ですがどれも紙一重に純人が機転を利かせて解決していきます。
そして新登場の浦乃霞。彼女の登場でちとせ、純人、結衣の3人の関係に微妙に変化が起きます。好意を持っている相手―――純人―――に接近する女性の登場に、ちとせが認めないながらもやきもちを焼いていたり、結衣は結衣でマイペースに純人との関係を詰めていく形だったりと、霞の登場に影響を受ける人もいれば見た目影響が無いように見える人もいたりとしていました。
この巻でのもう1つの見所は、最後の場面でしょう。誘拐された純人を助ける為に自分の正体を明かそうとするちとせ、誘拐状態から自力で脱出しちとせの正体ばらしを止めようとする純人。その後には明確なバトルシーンもあり、そこでは『外の人スーツ』を着たちとせと組織のエージェントとが肉弾戦を繰り広げます。こういった形でラストはアクション仕立てになっています。そのアクションは意外な相手と戦うちとせの姿や、純人の主人公らしい力無いながらも精一杯の活躍など、見られるところは多かったです。