繰り世界のエトランジェ2

繰り世界のエトランジェ〈第2幕〉偽りのガジェット (角川スニーカー文庫)

繰り世界のエトランジェ〈第2幕〉偽りのガジェット (角川スニーカー文庫)

繰り世界のエトランジェ 第2幕◆偽りのガジェット

著者・赤月黎先生。挿絵・武藤此史先生。第11回スニーカー大賞”奨励賞”を受賞した作品だそうです。挿絵は甘福あまね先生からバトンタッチで武藤此史先生に変わっていますね。
・登場人物
主人公の、異能と呼ばれる超能力で人から伸びて見える糸を掴む事で相手を自在に操れる”糸遣い”の睦月透真。透真に仕える者としてやってくる黒メイドの闇宮冥。異形の存在で全身に刀を仕込んでいる『作品集No.14<刀姫>』の通称カタナ。透真の母で冒頭で失踪する息子同様の”糸遣い”の睦月操。透真のクラスメートで一般人の葦原淳子。
今巻では新キャラクターに冥の戦闘技術の師匠であった闇宮礫。異能の存在を隠す為の異能者集団”山田太郎”。謎の仮面の男、雷斗。見ためは子供だったり大人だったり変化する”吸血鬼?”の我無。カタナが追い続ける改造人間を生み出す研究者的な存在の『神の手』。これらが登場しますね。
・シナリオ
異能“蟲遣い”の陰謀を退けた透真と冥。その陰謀の陰にちらつく母・操の行方を探るため、“糸遣い”の総本家・統堂家に向かう二人だったが…!?真っ黒な軍服に身を包む美女、新手の“化け物”、不死の少年、そして改造少女カタナを生み出した「神の手」と奇妙な姿の「作品集」。周囲に再び集まる新たな怪異の中、透真は異能力“操糸術”を駆使し、謎に満ちた母の正体に迫る。操る少年と操られる少女たちのスリル&ラブエンタ、第二幕。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この巻もまた中学生的な印象がする巻でした…
仮面のヒーローの登場、漢字で当て字をつけたような武器や技名の登場。助長で説明的というか説得的な文章と、前巻よりも中学生的”とってつけたような”登場が色々と目立っていたと思いました。
話の展開というか、吸血鬼との戦いはけっこう面白く進んでいきました。幾度倒しても死なない吸血鬼の秘密とか、吸血鬼の立ち回りは納得できる部分も多くて面白かったです。しかしその倒し方はまた突然に出てきたと言うか唐突に発現した新能力での決着。少々拍子抜けであったかと。前巻で出てきた”心糸”くらいまでなら理解できますが、その先の糸の存在がまた突然だなぁ、と。前巻で何かしら伏線があっても良かったのではないでしょうか。
第1巻でも出ていた異能”糸遣い”や戦闘専門の”闇宮”、全身に刀を仕込むなどされている”作品集”、異能者隠匿集団”山田太郎”や”神の手”など、設定的に面白いものが多いですが、いまいちそれらの設定を生かしきれずに新しい設定の登場などで話を進めてしまっていて、話の展開に説得力とか納得できる展開が物足りない感じがしますね。とはいえ、これらが最終巻への全ての伏線だったりする可能性も否定できませんので何とも言いきれませんが…。