シャムロック7

シャムロック7 〜混戦のアラベスク ですぅ〜〜

著者・沢上水也先生。挿絵・西脇ゆぅり先生による、GA文庫創刊時に刊行された作品の1つです。沢上先生は他作品として徳間デュアル文庫から「舞−乙HiME列伝」などの作品を出されていますね。挿絵の西脇先生はPCゲームの「きると」が代表作です。
・登場人物
美少年だが常識知らずのマッドサイエンティスト久我原桂一。そんな桂一に心酔してついて行く、天然の性格をした元茶道部部長現世界征服研究会未来警察同好会有限会社シャムロック・カウンシル社長という肩書きが色々と変わる通称”白メイド”の漣恋歌。十六夜学院生徒会の生徒会長の正義を追求する少し単純な突撃少女、通称”赤メイド”中瀬古舞。同生徒会副会長の舞に心酔し彼女をサポートする事に全力を傾ける長刀術などの武芸を修めたお嬢様の通称”青メイド”こと藤堂乱菊。コスプレオタク美少女の通称”黒メイド”東雲クリス。第1巻の事件に巻き込まれた結果、シャムロックに協力する立場になった図書館司書の氷取沢香澄。第2巻から登場の洗脳説得メガホンという道具を使い相手の精神に訴えかける話術を得意とするシャムロックの対外交渉人(ネゴシエーター)の、”偽シスター”こと簗瀬理佳。そしてその弟で熱血ヒーローやロボット好きが高じてシャムロックに入った”下っ端”こと簗瀬浩樹。そして敵か味方か。巨大企業ハリントンの戦略研究室”ヘッドクウォーター”の謎の女、その正体はAIというロウヒ。
サブキャラクターにはこの巻では敵組織であるクレプスキュール教団から亡命を希望して密航してくるレイチェル・杉浦。日本政府の政治家で第1部でも登場していた総理大臣公設秘書の黒木などが登場しますね。
・シナリオ
「あの世界征服宣言は本気ですのん?」
「もちろんだ。地上に神の王国を築くのは、神のしもべとして当然の責務だからな」。
平然と応える桂一…現クレプスキュール日本支部長に困惑するロウヒ。桂一は洗脳されているふりをしているだけなのか、それとも…。
一方、メイドポリス同士の闘いもますます激化の一途をたどり、ついにはPADを装着していない理佳に舞の雷神が直接炸裂する事態に!?
クレプスキュール教団を排除するためにいよいよ日本政府も動き出し、内閣官房の黒木はシャムロックを捨て駒として使うことを決意する…。
もう絶体絶命の大ピンチですぅ〜。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この巻は第2部開始早々に上下巻構成となった話の、下巻に当たる巻ですね。クレプスキュール教団を相手に始まった立ち回り/出来事の最初の顛末までが書かれている、と。
クレプスキュール教団日本支部支部長となった桂一。彼を欠いて亡命者レイチェル・杉浦を守る為に奔走するシャムロック・カウンシル。しかしシャムロックの武闘派メンバーである赤メイド・舞と青メイド・乱菊が生徒会所属者としてシャムロックの敵に回ってしまい、シャムロックVSシャムロックとなり双方は対峙する―――果たして桂一の真意は?そしてシャムロック同士の戦いの結末は―――?というのが、前巻までのシャムロックの辿った経緯。この巻当初は、そんなメイドポリスとメイドポリスの戦いから始まります。ですがその決着は途中から乱入した”偽シスター”簗瀬理佳の一人勝ち、といった感じで見事に口八丁だけで事態を収めてしまっていました。古武術オーバーテクノロジーの装備も、彼女の舌鋒の前では紙くず同然、そんな印象を受けましたね。
そして日本文化―――というか、クリスのもたらす同人文化に毒されていくレイチェル。世界広しと言えども、彼女ほどどんな相手にも変わらないのはそうそういないのではないでしょうかね。
そしてその後の話は、桂一抜きでも再度集結したシャムロックが桂一との接触の機会を求め、クレプスキュール教団の裏の資金源などから教団を探っていく事を追いかけて話が進んでいきます。その中にはヤンガー・プリエステスの考えがあったり桂一の策があったり日本政府の思惑があったりクレプスキュール教団の教主の親の愛があったりと、今巻も事件の裏側で色々な意思が錯綜していましたね。
そして一旦は終わりを告げるクレプスキュール教団を相手とした戦い。しかし、ヤンガー・プリエステス以外の姉妹など、他にも敵対してきそうな存在はまだいる事ですしこれからの展開が気になるところですねー。