アキカン!2

アキカン!2缶めっ

著者・藍上陸先生。挿絵・鈴平ひろ先生によるラブコメディ小説です。裏表紙に書かれている言葉から抜粋すると『すっからかんラブコメ』だそうです。そして文字通りで、名は体を表していますね。
・登場人物
主人公でメロンのオーナーの、超お調子者でトンデモ言動が目立つが実は過去に心に傷を持った、大地カケル。スチール缶のメロンジュースの『アキカン』で、缶状態と少女状態の2つの姿を持ちカケルとのキスで缶状態から少女状態になれる自由奔放だが寂しがりやのメロン。カケルの幼馴染でカケルの心の傷を知る、エールのオーナーで民間企業スカイエアーグループの社長令嬢の天空寺なじみ。アルミ缶のスポーツドリンクの『アキカン』でなじみをオーナーに持つエール。カケルやなじみの同級生で自称”魔女”の東風揺花。影が薄くイジメラレ系キャラクターで、いつもナチュラルに周りのみんなから酷い目にあわされるカケルたちの同級生の甘字五郎。そして『アキカン』を巡る話の黒幕的存在の国家公務員の男屋秀彦。その部下の木崎愛鈴。
・シナリオ
カケルのキスで少女化したメロンソーダの「アキカン」メロンと一緒に暮らしはじめた大地カケル。ある日、カケルは幼なじみの天空寺なじみと、プール&遊園地のテーマパーク「イル・フロッタント」でデートすることに!それを知ったメロンはふたりを尾行開始!メロンはいてもたってもいられず、同じように尾行してきたなじみの「アキカン」エールと手を結ぶ!?缶全無欠のすっからかんラブコメ2缶目、開封。(7&YHPより抜粋。)
・感想
前巻がコメディ比に重点を置いた巻だったとしたら、この巻はラブ比に重点を置いた巻ですね。カケルとなじみのデートに、それぞれのオーナーにやきもちを焼くメロンとエール。2人のデートにこっそりついていっていたりするのは、ままならない乙女心、といった感じでしょうか。
そんな二人が微妙に妨害をしながらも明確にその意図がある訳ではないので上手く行かず、むしろ逆効果になったりするお約束で、進展しかけながらもそのまま立ち止まったりするカケルとなじみの2人の関係は、このまま永遠に進展も何も無いのではないかと思うくらいの牛歩ですね。そこまで良い雰囲気になりながらそこから先に進展が無いとは、貴様たちは一生今の関係のままだな!と言ってやりたくなります。
そしてこの巻でも、カケルの日常における馬鹿な発想は光っていました。元アキカン故に物を知らないメロンに色々質問されての、その答えが秀逸です。普通あんな発想は出ねぇよ、と。そんな小ネタが光るアキカン!2缶めっ。ラブコメディ重視のバトル要素無しですが、それ以外の部分――ーメロンがバイトを始める話や、東風揺花の誕生日話、そんな中でのそれぞれの気持ちの動きというものが見られて面白いですね。擦れ違い、誤解、嫉妬、それらと対極の馬鹿騒ぎの中で見られる素直な恋心、執心など、アキカン!は色々な要素が入っていますが、この巻では特にラブコメディの要素が楽しめると思います。