アリアンロッド・リプレイ・ハートフル4

アリアンロッド・リプレイ・ハートフル4 星霜のロンド

著者・久保田悠羅先生&F.E.A.R.、監修・菊地たけし先生。挿絵・bomi先生、安達洋介先生、いろは楓先生。「ほんわか」「ちょっぴりハートフル」そんなイメージを持つべくプレイされているTRPGシステム『アリアンロッド』のリプレイ小説です。
・登場人物
小島めぐみ女史が扮する一人前の魔法使いを目指すメイジ/メイジのファムリシア。菊地たけし先生が扮するシーフ/モンクのこき使われる役どころが多いカッツ、大畑顕氏が扮するウォーリア/ガンスリンガーでファムリシアと同級生という役のヴァリアス、小暮絵麻女史が扮するアコライト/サモナーからクラスチェンジを果たし新たにアコライト/ダンサーとなったで最上級生として他の3人を引っ張る役の多いカミュラという4PCがメインで、冒険者養成学院に通う彼らの周囲に居る人物…学院関係者や同級生上級生下級生なんかがサブキャラクター/NPCとして登場しますね。この巻では他にも学院を飛び出して地方の町に行ったりしますので、その街の関係者、などが登場しますか。
・シナリオ
“覇王の遺産”のひとつが“聖都”ディアスロンドにあることを知ったファムたちは、そこで試練のダンジョンへと立ち向かう。その奥底で待ち受けるのはディアスロンドの開祖にして覇王の側近であったルキアノスの英雄霊。その彼が仕掛けてくる最大級の試練とは!?そしてそれに打ち勝ったときに明かされる覇王の、そして“覇王の遺産”の秘密とは!?学園を舞台に、アリアンロッドRPGの新しい冒険を切り開く『アリアンロッド・ハートフル』シリーズ、好調の第四弾。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この巻は学院を飛び出してその他の町へ行く、というシナリオで学院生のハートフル・ストーリーだったのが学院生ではなく普通の冒険者、になっていたのがちょっと残念でしょうか。しかしながら第1巻で登場したあのキャラが宣言通り再登場していたり、レベルが中堅クラスになってきていてそれぞれのキャラクターに個性が如実に出てきたりで、リプレイとしては面白かったですね。
あくまで平均的なダイス目ばかりで面白みの無かったヴァリアス/Oはた氏が固定値の充実に走りだしたり、ファンブルに次ぐファンブルとダイス目にかなり見放されているも堅実に且つ計算高くプレイするカッツ/きくたけ先生、メイジとしてアタッカーとしてその攻撃力を着々と上げ続けるコツコツとしたプレイでダイス目もソコソコ良いファム/こじまめ女史、パーティーの生命線としてアコライトの能力を如何無く発揮するもダイス目に波があり、且つそのプレイヤーが子悪魔的ということもありパーティーのムードメイカーたるカミュラ/英麻さまと、プレイスタイルも各人で違っていて色々見れて面白いです。
今回はダンジョンシナリオとシティ・アドヴェンチャーシナリオがそれぞれ1つで構成されていました。ダンジョンシナリオではランダムダンジョンシステムを使い、トランプを使ったGMにも何が起きるかわからないプレイをしていて、緊張感を高めると共に新しい試みへ挑戦。シティ・アドヴェンチャーではお約束のPCたちが動く間に敵NPCも動き、互いの行動の結果如何で結末が変わるタイプ。相手の行動を読むのとその思惑が外れたり当たったりしながら進んでいくのがシティ・アドヴェンチャーの醍醐味でしたね。
時間軸が同じリプレイシリーズの『アリアンロッド・リプレイ・ルージュ』シリーズでの行動の結果がこのハートフルシリーズにも影響を与えているのも、両方読んでいる身としては面白かったです。
若干の難点というか、疑問点?というかは…この巻で正体のわかったゲイ・ボルグですが、ああいった一風変わった存在は元からあったゲームシステムを無視する一面もありますので、今後の扱いが気になりますね。あのままだと折角のゲイ・ボルグが使えないわけで、だけど最後に示されていたアイテムを入手するとゲームシステムから逸脱して構成されているゲイ・ボルグを使いたい時に使えるようになってしまい、そうするとゲームシステムから外れた存在がいつでも使えるようになってしまい、ゲームとしてイレギュラー過ぎるんじゃないか、と。今回のようにシナリオ上の演出だけなら良いのですが…普通の戦闘でも使えるようになると、アリアンロッドのTRPGとしてはどうかなぁ?となってしまうのでは、と…そんな懸念があります。まぁそこは今後どうするのか、GMである久保田悠羅先生に期待、といった感じでしょうかねー。