ぷいぷい7!

ぷいぷい!7 (MF文庫J)

ぷいぷい!7 (MF文庫J)

ぷいぷい7!

著者・夏緑先生。挿絵・なもり先生によるアラビアン・ファンタジックコメディの第7作です。『月刊コミックアライブ』でコミック版も連載されていますね。(2007年12月現在)
・登場人物
主人公はランプの魔神のご主人様となった、ランプの魔神を呼び出せるソロモンの指輪を持つ新木陣。ヒロインはセレブなお嬢様だがランプの魔神である猫かぶり我侭ッ娘の座堂シエラ。
サブキャラクターとして陣のルームメイト宇多田夕也。陣行きつけのペルシャ食堂の看板娘で剣の精霊のアルフ・シャムシール。他にもシエラのメイドや陣やシエラ共通の友人やクラスメート、下級生上級生などが出てきます。登場人物は結構多目ですね。
今巻では驚きの正体が明かされた下級生、本田聡子が注目ですかね。
・シナリオ
まさかの赤点でシエラが留年の危機に! 緊急の三者面談で進退のお話を、ということになるのだが、肝心の両親に連絡がつかない。落ち込むシエラのため、陣は世界のどこかにいるシエラの両親を見つける方法を考え始める。わずかな手がかりを得た陣は単身京都へ向かった。しかしシエラは陣が自分を見捨てて旅行に出かけるのだと思いこみ、ウルトラご立腹の様子。シエラは陣の手を借りず、俳優を雇って両親そっくりの特殊メイクをさせることで三者面談を乗り切ろうと画策するのだが、はたして――!?絶好調&舌戦高潮のファンタジック学園ストーリー、風雲急を呼びまくって第七弾!!(裏表紙より抜粋。)
・感想
この巻は物語が大きく動き、クライマックスに向かっていくその前哨戦、といった様相でしたね。
ついに見つかる『アーク』。そして残っていたアークダイモン全ての登場に、陣のパパやシエラのママといったこれまで名前だけだったキャラたちが続々登場。まったくサブキャラクターだった生徒会長と副会長の右京、氷室江利子の二人がいい感じになったり、魔神レベルを上げなくともお金持ちに返り咲いたシエラが陣との接点を失って意地を張ったり迷走したり、意外な下級生図書委員の本田聡子の正体が明らかになったりと、激動の巻でした。
全体的には3部構成、といったところでしょうか。アークが見つかり残るアークダイモン3柱のひとり、『父母を敬うべし』のアークダイモンとシエラを抜いた陣とアルフとで戦う(まぁ最終的にシエラも合流するのですが)話と、母の活躍により魔神レベルを上げる必要がなくなったシエラが陣との接点を失い、困惑し意地を張りながら悲しむ一方で、生徒会長右京と副会長江利子が渚で良い感じになる話と、最後に『唯一神の否定』のアークダイモンの配下相手に陣とシエラ、それに正体を明かした聡子に陣の父、大胡を加えて戦う話、ですね。
それぞれに見所があります。詳しくは本書を読んで、ってことにしますが、シエラの意地の張りっぷりと陣の不器用な男特有のやや傲慢な優しさ、聡子の正体と、彼女がまだ自分で気が付いていなかったその心に生まれた感情…これらが見所でしょうか。
このシリーズは、相変わらず真面目な話の合間に挿入されるジョーク/ギャグが絶妙な間で笑いを誘発してくれますね。強大な敵と相対しているのに、所々で相手を挑発しつつもギャグやジョークのような会話を挿入し、シリアス一辺倒になりかけたところで笑いを入れて雰囲気を変える…その手法は、強大な敵と相対していても変わらないということで、そのスタイルに脱帽ものです。
このシリーズも、そろそろクライマックスが見えてきた感じです。最終決戦に『ヘロディオン』に向かうことになる陣たち一行。次巻からは海外編、といったことになるのでしょうか。敵地での戦いに、最後まで今のスタイル―――会話による知恵比べ+バトルのままで最後まで終わらせるのか。というか最後に出ていたあの面子で本当にラストバトルなのか、先が気になるところですねー。