たま◇なま1

たま◇なま ~生物は、何故死なない?~ (HJ文庫)

たま◇なま ~生物は、何故死なない?~ (HJ文庫)

たま◇なま ~生物は、何故死なない?~

著者・冬樹忍先生。挿絵・魚先生。魚先生は原画として18禁PCゲーム「CANVAS〜セピア色のモチーフ〜」「CANVAS2〜茜色のパレット〜」を描いていたそうですね。
作品自体はHJ文庫を出版する株式会社ホビージャパン主催の『第1回ノベルジャパン』で大賞を受賞した作品だそうです。
・登場人物
主人公で過去に両親と妹を犯罪で失った過去を持つ氷見透。そんな透に目をつけて自分の”つがい”として改造し束縛した鉱物生命体の少女・由宇。他に透と因縁の深い男で敵の卑口隆志、透の同級生で透の”同類”の不破灯璃といった登場人物がありますね。
・シナリオ
氷見透の家に来た鉱物生命体の少女・由宇。目的は人間社会の支配だ。由宇は透を改造し、次世代作成の協力(!)を強要する。無体な要求に振り回されつつも、改造により逆らえない透は、由宇とのちぐはぐな同居生活を送る。そんな中現れる、由宇の宿敵。そこには、透の家族を死に追いやった男の姿があった。ご町内を舞台に、人類の命運をかけたバトルが、今、幕を開ける!(裏表紙より抜粋。)
・感想
バトルあり哲学ありほのかにラブコメありやたら青年の苦悩という青春あり微妙にヤンデレありSFありと、第1回ノベルジャパン大賞に選ばれた作品らしく色々な成分が多く含まれていましたね。
基本的に主人公とヒロインが同居中ということで会話が多く挿入され、また他の人と人とが出会った際なども会話分が挿入されるのですが、これが少し哲学を含みさらに地の文の少ないテンポの早い会話文が多かったです。もちろん哲学のての字も無い純粋な一般人同士の会話もありますが、ヒロインとの会話に関しては哲学含みになることがチラホラ。その点、少し気になりましたね。流し読みをすれば早く読めるのですが、キッチリ書かれていることを理解して文の意味を考えているとかなり読むのに時間が掛かる…そんな作りです。それだけにヒロインが考えている事が、他の登場人物よりも汲み取りやすくなっていたかと思いますが。
全体的な話としては主人公とヒロインの成長譚。影を背負った主人公がそれを克服していく様子と、基本的なものが欠けているヒロインが主人公との触れ合いの中で欠けているものを取得していく。その両方の過程で起きる様々な出来事や衝突が、この作品の見所でしょうか。
そんなボーイ・ミーツ・ガール的に始まった話にSFを混ぜればこの話になるかと。あと哲学。人の生きる理由は?人が死なない理由は?など、単純に考えられない難しい話が主題に置かれて会話していたりして、中々重くて深い話などありましたねー。